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【治具製造で存在感】Markforgedの樹脂3Dプリンター機種ラインアップ【2023年12月版】

デスクトップ型FFF方式3Dプリンター「Onyx Pro」

デスクトップ型FFF方式3DプリンターOnyx Proは、ABS樹脂の10倍の強度を持つ長繊維グラスファイバーを材料に使用できる。高耐久性のパーツ製造に適していることから自動車業界などで治具製造などに活用されるケースが報告されるようになってきた。

その先駆けが米Markforged(マークフォージド)だ。 Markforgedの名前をよく聞くが機種ラインナップや違いがいまいちわからないという方も少なくないだろう。本記事では、2023年現在でのMarkforged社の樹脂3Dプリンターの機種ラインナップに関して概観していく。(上部画像はデスクトップ型FFF方式3Dプリンター「Onyx Pro」出典:APPLE TREE社)

治具分野で人気のMarkforged

Markforeged社は多くの3Dプリンター装置メーカーや材料メーカーに先駆けてカーボンファイバー配合の樹脂材料を市場投入し、強度面での懸念点を大きく払拭しモノづくりの地平を大きく切り開いた。

Markforeged社3Dプリンターの国内正規代理店は3DCAD系のソリューションにも強いデータ・デザインやファソテック、3Dプリンティングコーポレーションなどの他、日本3DプリンターAppleTree社のようにデスクトップ3Dプリンターに強い代理店も取り扱っている。

Markforged社製の3Dプリンターには、デスクトップシリーズとインダストリアルシリーズがあり、事例にもあるようにMarkforged社の3Dプリンターは治具生産機としての導入を加速させている。

Markforged社のデスクトップシリーズ(樹脂)

2023年12月時点では、デスクトップシリーズとしてMark TwoとOnyxシリーズがラインアップされている。Mark TwoはMarkforged社の独自開発材料であるOnyx材料以外の材料にも対応しており、OnyxシリーズはOnyx材料のみに対応するという違いがある。

Onyx Oneは、オニキス素材のみを印刷可能なエントリーレベルの3Dプリンターで、高性能なプラスチック部品の代替品、ハウジング、マウント、グリッパーなどの印刷に適しているとされる。追加のエクストルーダーを持ち、オニキスにガラス繊維の連続糸を加えることができため、ABSの10倍の強度を持ち、炭素繊維の摩耗抵抗を持つ部品の造形が可能になる。機械加工アルミ部品の代替品や、強化が必要なその他のエンジニアリング用途に適しているといえるだろう。

項目Onyx ProMark Two
材料Onyx、Precise PLA、Smooth TPU、FiberglassOnyx、Nylon White、Precise PLA、Smooth TPU、
Carbon Fiber、Kevlar🄬、Fiberglass、HSHT Fiberglass
強度Onyxの最大約3倍の曲げ強度(Fiberglass使用時)Onyxの最大約8倍の曲げ強度
(Carbon Fiber使用時)
用途高強度が必要なプロトタイプや工具の製造最終用途の部品や代替部品の製造に最適
造形エリア320 x 132 x 154mm320 x 132 x 154mm
ソフトウェアEigerEiger
特徴強化されたデスクトッププリンター高度なデスクトッププリンター
多様な材料と連続繊維補強対応
デスクトップシリーズ

Markforgedのインダストリアルシリーズ(樹脂)

デスクトップシリーズよりも幅広い材料に対応し、造形できる部品サイズ(ビルドボリューム)も大きいのがインダストリアルシリーズだ。造形できる部品サイズを示すビルドボリュームや扱うことができる材料などの違いからXシリーズとFXシリーズに大別できる。

1000mm×1000mm×600mmの造形サイズにも対応するFX20(出典:Markforged社ウェブサイト)

このほかに工場以外の生産環境をきちんと整備できない野外などでも利用できるX7フィールドエディションというモバイル3Dプリンターもラインアップに加わっており、軍事行動や物流や生産設備のない現場での活用へのニーズにも対応している。

項目X7FX10FX20
材料Onyx、OnyxFR、OnyxESDNylon White、Precise PLA、Smooth TPU、
Carbon Fiber、Kevlar🄬、Fiberglass、HSHT Fiberglass
Onyx、Carbon FiberOnyx、OnyxFR、Vega™、ULTEM™9085、Carbon Fiber
強度Onyxの最大約8倍の曲げ強度
(Carbon Fiber使用時)
Onyxの最大約8倍の曲げ強度(Carbon Fiber使用時)Onyxの最大約8倍の曲げ強度(Carbon Fiber使用時)
用途機械加工部品の代替に適している、様々な材料の使用が可能大型部品の製造、複雑な形状大型部品の製造、複雑な形状、大規模製造
造形エリア330 x 270 x 200mm375 x 300 x 300mm525 x 400 x 400mm
ソフトウェアEigerEigerEiger
特徴多様な材料の使用で高強度、高耐久の部品製造が可能大型の3Dプリントに適しており、複雑なデザインも可能最大のビルドボリュームを持ち、大規模製造に最適
インダストリアルシリーズ

「3Dプリント品は強度不足」というイメージを払拭。製造技術部門が相次いで採用するMarkforged社の3Dプリンター

3Dプリンターで一定以上の強度をもつ治具を迅速に製作できる点で、日本の自動車業界など量産を基本とする産業の製造現場にも治具生産のためのツールとして3Dプリンターが導入されるケースが増えてきた。

  1. トヨタ自動車株式会社: トヨタは、Markforged社のX7モデルを導入し、自動車製造用装置の企画・開発、設計、製作、設置、メンテナンスなどを行う部門で使用していると言われている。工場内で使用する複雑な樹脂パーツやアルミ部品のリードタイムとコストの課題に対応するため、Markforged社のMark Twoモデルで、製造現場での使用に耐えられる品質を実現している​​ケースもあるようだ。
  2. 小島プレス工業株式会社: トヨタ自動車のTier1サプライヤーである小島プレス工業社は、Markforged社の3Dプリンターを活用してロボットハンドの製作を行っている。これにより、ロボットハンドの軽量化と設備投資の低減、製作費用の67%削減を実現しているという​​。

(いずれもMarkforged社の販社であるデータデザイン社から事例PDFをダウンロードできる。)

野外での利用にも対応しているX7フィールドエディション
野外での利用にも対応しているX7フィールドエディション(出典:Markforged社ウェブサイト)

Markforged社の3Dプリンターは、Carbon Fiber、Kevlar Fiber、HSHT Glass Fiberなど様々な材料の使用が可能で、これにより高い曲げ強度、耐衝撃性、耐熱性などを実現している​​。強度、造形の安定性などの面が高く評価され、同社の3Dプリンターを扱う販売店はAppleTree社以外にも数多く存在する人気メーカーとなっている。

多くの競合装置メーカーや材料メーカーがMarkforged社の切り開いた高強度な複合材料への対応を進めるほど、大きく時代を変えたキープレイヤーである。

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今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。

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