UltiMakerが工業生産向けデスクトップ3Dプリンター「Method XL」の販売を開始
オランダやアメリカに拠点を置く3Dプリンターメーカー・UltiMaker社が、2023年5月31日に新型デスクトップFDM方式3Dプリンター「Method XL」の発売を開始した。デスクトップ3Dプリンターならではの手頃な価格を維持しながらも、産業グレードのプリント材料を使用可能にすることで、精巧な大型造形ができる点に特徴がある。
(画像はUltiMaker社の新型3Dプリンター「Method XL」/出典:UltiMaker社)
Method シリーズの最新機種「Method XL」
今回発表された「Method XL」は、UltiMaker社が展開する3Dプリンター「Method シリーズ」の最新機種となる。大きな特徴はその造形可能サイズにあり、最大で305mm×305mm×320mmの造形ができる。これはUltiMaker社の3Dプリンターの中でも最も大きい。大型造形が可能な機種でありながらも造形精度は高く、Ultimaker社によれば±0.2mmの寸法精度だという。高い造形精度により、試作品の作製に留まらず最終製品に至るまでの生産が可能だ。
Method XLは、プリント素材として熱や衝撃に強く、熱可塑性樹脂であるABS-RやABSカーボンファイバーなどの工業用素材を使用できる。ABSは加工性の高さから3Dプリント素材として人気があるが、歪みや変形が生じやすく扱いが難しいものでもある。
また、Method XLでは、ABSを使ったプリント精度を向上させるため、造形エリア内を加熱するヒーティングチャンバーを最大100℃に達するように設計されている。また、Method XL独自の設備としては接着性と温度制御を向上させるヒートビルドプレートが追加された。
ヒーティングチャンバーとヒートビルドプレートの組み合わせにより、大型モデルの造形においても精度の高さを保った安定した造形が可能になっている。
デスクトップ3Dプリンターであるがゆえの価格帯で、ヒーティングチャンバーとヒートビルドプレートの両方が搭載されているのは珍しい。これは、精度の高さを追求するデスクトップ3Dプリンターメーカーに大きな影響を与えることになるだろう。
また、Method XLには通常、時間がかかってしまうサポート材の除去スピードを高めるために専用のサポート材として速溶性の水溶性支持材である「RapidRinse」も用意されている。使用することで、より滑らかな表面に仕上げられる。
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