明治チョコレート、カカオ廃棄物を材料に3Dプリンターでリサイクル!NODが仕掛ける新たなプロジェクトに注目
東京都渋谷区に本社を置くNOD社が、循環型社会の実現への取り組みである「RECAPTURE」の一環として、企業の廃棄物を素材として再利用し、3Dプリンターによってオーダーメイドのプロダクトを作るプロジェクトを開始した。このプロジェクトの第一弾として、鹿島建設株式会社と株式会社明治との協業が発表された。(写真はカカオ豆の外皮を原料にして3Dプリントされた什器 出典:NOD社)
「RECAPTURE」プロジェクトとは
今回のNOD社と鹿島建設、明治との協業は、これまでNOD社が主軸として取り組んできた「RECAPTURE」プロジェクトの派生にあたる。RECAPTUREプロジェクトとは、酢酸セルロースをはじめとした生分解性バイオマス素材や有機廃棄物などを3Dプリンターによって加工・再利用し、循環型の都市づくりを目指すプロジェクトだ。
これまでNOD社は、RECAPTUREプロジェクトにおいて酢酸セルロースをベースにした素材を用いた家具製作や、有機廃棄物である卵の殻を素材に用い、国内では初となる大型3Dプリンター家具を製作してきた。ShareLabNEWSでは、どちらの取組みについても過去に詳しく取り上げている。ぜひそちらも参照してほしい。
≫ 【ShareLab独自取材】バイオマス素材×3Dプリンターで循環型都市を実現するプロジェクト『RECAPTURE』仕掛け人に話を聞いた!
今回の新たな取り組みの特徴
今回のNOD社と鹿島建設や明治との協業の特徴は、「自社から出た廃棄物を自社で使う什器として再利用する点」にある。これまでの取り組みでは素材の調達先と製品の使用先の企業が別々だったが、さらに循環型経済を意識したものだと言えるだろう。
鹿島建設:カフェスペースで出るコーヒーかすを原料にしたテーブル
鹿島建設との協業では、鹿島建設のオフィス内に設けられているカフェスペースでゴミとして出るコーヒーかすを原料にしたテーブルが製作された。
鹿島建設の担当者は今回のNOD社との協業について「自らの利用により発生した廃棄物を、資源として再定義し、考え、つくる行為を通して環境改善に貢献する利用者参加型のものづくりと考えており、このプロセスに新しい価値があると考えています。今後もNOD社との協業により、様々な廃棄物の循環の可能性を検討し、資源循環を通じて持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。」と述べている。
明治:チョコレートを製造する工程で出る廃棄物を原料にした什器
明治チョコレートでは、製造工程で出るカカオ廃棄物を使用し、大型3Dプリンターで 什器 を製造。実際に同社社長がスピーチ台として使用し話題にあがっていた。
チョコレートの原料として知られるカカオは、ラグビーボールのような大きな実のなかに、白い果肉とたくさんの種子が詰まっている。チョコレートの原料として使われるのはカカオ豆と言われるカカオの種子のうち、中身にあたる胚乳部分だ。
チョコレートの原料とするためにはカカオ豆を発酵させる過程があるが、白い果肉は食用や発酵の際に用いられる。しかし、カカオ豆の外皮にあたるカカオハスクは加工段階で取り除かれ、有効活用されることなく飼料・肥料・燃料などに結果として使用されてきた。今回の協業ではカカオハスクの新たな活用法を見出したことになる。
明治の担当者は今回の協業について「カカオに関する様々な社会課題解決を目指し、NOD社と協業させていただきました。誰一人取り残さない。何一つ無駄にしない。フルーツである、カカオには、可能性が沢山詰まっています。カカオの可能性をパートナーと一緒に1つ1つ丁寧にひらいていきたいと、私たちは考えています。」と述べた。
海外では、チョコメーカーであるMUZE Cacaoがカカオの廃棄物から3Dプリントで建てる施設を計画し、年内には建設開始すると発表。現在約80%が廃棄されているカカオの果実を最大限に活用した、新しく倫理的なカカオベースの製品を作ることだ。それらの製品は、廃棄物を減らし、二酸化炭素排出量を相殺するだけでなく、農民とその家族を貧困から救い、グローバルなサプライチェーンに統合することを目標としているなど、企業としてどのように社会へ貢献していくか、今後ますます動きは活性化していくだろう。
まとめ
NOD社には、廃棄物を減らす、ゴミを減らすといった半ば抽象的な目標ではなく循環型社会を実現するための具体的な道筋が見えているようだ。自社で出したゴミを自社で再利用する。3Dプリンターを用いたこの取り組みが、近い将来のスタンダードになるのかもしれない。
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