セレンディクスが国内最大となる大型3DプリンターをWINSUN社から導入
2018年に設立された日本初の3Dプリンター住宅メーカー・セレンディクス株式会社(以下、セレンディクス社)は、中国の上海に拠点を置く3D建築プリンティング企業のWINSUN社から、日本国内では最大となる大型の建築用3Dプリンターを導入した。今回導入された3Dプリンターでは、最大100㎡の広さの平屋建て住宅を建設できる。
また、セレンディクス社はWINSUN社との業務提携も同時に発表した。今回導入する大型3DプリンターはWINSUN社から無償提供されたとのこと(画像はセレンディクス社の3Dプリント住宅 出典:セレンディクス社)。
大型3Dプリンターで、今後の住宅開発のスピードアップを図る
セレンディクス社では、2022年6月に、60㎡の広さに出力可能なロボットアームタイプの3DプリンターをオランダのTAM社から導入している。これはロボットアームタイプとしては国内最大のものだ。
2台目となる今回のWINSUN社製のプリンターは、100㎡の出力が可能な、より一般住宅のプリントに適した大型のものだ。
導入の背景には、セレンディクス社の3Dプリンター住宅の需要の高まりがある。
セレンディクス社は、2022年3月に愛知県小牧市で国内初となる3Dプリンター住宅の施工を23時間12分で成功させた。このニュースは、日本をはじめとした世界26ヶ国59媒体で報道されるなど話題となった。
このことについてはShareLabでも詳しく取り上げているのでご覧いただきたい。
>>「家を24時間で創る」を実現 – セレンディクス・パートナーズ
セレンディクス社の3Dプリント住宅は、100㎡で300万円という破格の安さに特徴がある。
国内初の3Dプリント住宅の施工に成功して以来、国内外を合わせて1,800件を超える住宅の問い合わせや予約依頼が来ているという。今回の大型3Dプリンターの導入は、そのような需要の高さに応えるためのものだ。
今後はこうした最新の3Dプリンターを用い、既に販売が開始されているserendix10㎡モデル(Sphere)に加え、今年発売予定のserendix49㎡モデル、serendix100㎡モデルの開発・普及をすすめていく予定のようだ。
金融緩和修正の影響で安価な3Dプリンターの需要はますます高まる
2022年12月に日本銀行が金融緩和策の修正を決めたことで、長期金利の変動幅の上限がこれまでの0.25%程度から0.5%程度まで引き上げられる。この修正は住宅ローンの金利に大きな影響を与える。
住宅ローンの金利には「固定金利」と「変動金利」の2種類がある。
住宅ローンを提供している各金融機関が設ける固定金利は、長期国債の金利を指標にしている。長期国債の金利は変動幅の上限が修正される長期金利にあたるため、連動して住宅ローンの固定金利も上がる。大手銀行では、既に今年1月からの住宅ローンの固定金利を0.1%から0.3%程度上げると発表している。
一生のうちで最も大きな買い物とも言われるマイホームは、ほとんどの場合、住宅ローンを組んで購入される。今回の金融緩和修正は住宅ローンの主流となっている変動金利には影響はないが、将来的に政策変更があれば、変動金利であっても金利がこれまで以上に高くなるリスクがあることは否めない。
つまり、これからはマイホームがこれまで以上に高い買い物となる可能性が高まってきていると言えるだろう。そのような状況の中、セレンディクス社が提供する3Dプリント住宅は、大きな希望の光となりえるかもしれない。今後の動きにも注目したい。
セレンディクス社に関して、ShareLabでもこれまで多くのニュースを取り上げている。下記のリンクにまとめてあるので、そちらも併せてぜひご覧いただきたい。
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