サントリーのグループ企業が世界初の「液体に3Dデザインを描く技術」を開発
サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社が、世界で初めてとなる、液体をキャンバスに変える液中描画技術「LiDR(Liquid Drawing)」を開発した。
「LiDR」は、食品由来の描画飲料を使い、飲料に3Dパターンの文字やイラストが描ける技術だ。
この技術を用いることで、「飲料を通じてメッセージを伝える」「同じデザインの飲料を飲む楽しみを共有する」など、飲料を起点としたコミュニケーションの可能性を広げることができる。
このテクノロジーはFood&AgTech(Agriculture Technology)の領域で、「CES 2023 INNOVATION AWARD」に選出された。
液体に3Dパターンが描ける液中描画技術「LiDR」とは
「LiDR(Liquid Drawing)」は、サントリーグローバルイノベーションセンター(株)が開発した、液体に3Dの文字やイラストが文字が描ける技術である。ラテアートのように飲料の表面に文字やイラストを描くのとは異なり、ロボットのインクディスペンサーを使って、飲料の中にメッセージ・模様・イラストなどの3D液体パターンを描くことができる。
また、ロボットと連動させることで、ユーザー自身のPCやタブレットで3Dデザインを作成することもできる。
企業ロゴを用いた飲料でのブランディングやキャラクターデザイン飲料の展開など、マーケティングの幅が広がりそうだ。
「LiDR」は、6軸のロボットアームをベースとし、描画用飲料を吐出するノズル位置・ノズル速度・吐出流量を柔軟に制御可能なシリンジ機構・描画プロセスによって構成されている。
これらの技術により、液中で描画用飲料が流れるリスクや、描画済みの描画用飲料と描画中のノズルが相互作用するリスクを低減。安定した流体3Dパターンの構築が可能となる仕組みだ。
描画用飲料の原料には、すべて食品素材を使用している。余剰・廃棄部分の食品素材の再利用もでき、目で楽しめるだけでなく環境にも優しい点が大きなメリットだ。誕生日、スポーツ観戦、パーティー、結婚式など日常生活のさまざまな場面での活用も想定されている。
液中描画技術のさらなる開発をすすめるにあたり、同社は共同開発パートナーを募集している。未利用あるいは廃棄予定の食材を適切に微粉末処理してインク飲料化する技術や、食品機材としての飲料描画装置、耐久性が高くてメンテナンスが容易な食用シリンジの開発を行う方針だ。
世界初となる3D技術が今後どのような展開を見せるのか、ShareLabNEWSでは引き続き注目していきたい。
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