米国防総省が潜水艦への部品供給のために産業用金属3Dプリンターを購入
アメリカ国防総省が、オーストラリアの金属3Dプリンターメーカー「AML3D」社から、同社の産業用金属3Dプリンター「ARCEMY X-Edition 6700」を1台購入した。価格は約100万豪ドル(約70万米ドル)で、設置や試運転は2023年中に完了する予定。この購入は、米国防総省が支援する非営利の仲介業者であるBlueForge Allianceを通じて行われた。
今回購入した 「ARCEMY X-Edition 6700」 は、米海軍の潜水艦部品供給のために活用される(画像は産業用金属3Dプリンター「ARCEMY」/出典:AML3D社)。
>>AML3D ENTERS US DEFENCE INDUSTRY WITH LARGE SCALE ARCEMY® SALE
WAAM方式金属3Dプリンター「ARCEMY」
AML3D社の「ARCEMY」は、指向性エネルギー堆積法(DED方式)の一種であるWAAM方式を採用する金属3Dプリンターだ。ワイヤーアーク積層造形は、溶接作業で使用される「アーク」を熱源とするもので、造形速度と造形サイズの大きさに特徴がある。
豪3Dプリント関連企業がアメリカ経済に大きく関わるきっかけに
オーストラリアは、アメリカにとっての地政学的に重要な国である。そのため、オーストラリアの3Dプリント関連企業は、他国の競合よりも優位に立ちやすいという。それはオーストラリアの企業であるAML3D社が、3Dプリント後進国ではないアメリカで大型受注をしている点からもうかがえる。
事実、オーストラリア政府も3Dプリントのような新しい製造業への移行を推し進めている状況にあるようだ。AML3D社が、国防総省からアメリカ市場へとのつながりをつくったことで、他のオーストラリアの3Dプリンターメーカーが進出するきっかけとなるかもしれない。
AML3D社の関連記事
今回はアメリカ海軍への機器提供だが、AML3D社はオーストラリアの企業ということもあり、自国の海軍向けの軍艦用試作部品も3Dプリンターで製作している。この件については過去にShareLabNEWSでも取り上げているので、ご覧いただきたい。
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