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Carpenter AdditiveのAM用金属パウダー品質管理に注目!-LPWテクノロジージャパン株式会社

2020年1月29日から3日間に渡り、東京ビッグサイトで開催される国内最大級の3Dプリンティング&AM技術の総合展「TCT Japan 2020」(以下、TCT)。ShareLab(シェアラボ)編集部は同イベントのメディアパートナーとして事前情報をお届けしていく。

Carpenter Technology(以下、カーペンター・テクノロジー)は、創業130年を誇る米国の特殊金属に強みを持つ大手金属会社だ。航空宇宙分野などで採用されている特殊合金を強みにしてきた同社は、ここ数年、2億ドルを投じて金属AM用造形材料分野に強みを持つ企業群をM&Aしながら、Carpenter Additiveと呼ばれるビジネスユニットを拡大してきた。

TCT Japan 2020ではCarpenter Additiveの中から、金属粉末の品質管理に強みを持つLPWテクノロジージャパン株式会社(以下LPW)が出展する。同社の工藤千雅氏に、日本での取り組みと出展の見どころを伺った。

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――LPWさんは米国カーペンターグループということですが、同社の中ではどのような位置づけなのでしょうか

もともとLPWは英国に本社を置く金属粉末メーカーでした。2019年、M&Aによりカーペンターグループの傘下に入りました。LPWはAM用金属用粉末の販売、物性測定サービス、品質管理システムを提供してきたのですが、特徴的なのがAMの造形材料にサイエンスの観点からアプローチしている点です。

パウダーの物性調査のメニュー

AM造形機による造形品質には多くの要素が影響しますが、その中でも粉末の流動性は重要な要素です。そこで弊社では粉末の流動性、粒度分布、形状、水分量など金属粉末を物性測定できる設備を整え、分析サービスを提供しています。

LPWジャパンのラボ。パウダーの粒子1粒1粒を捕捉できる分析システムがある
日本では重要になる金属パウダーの水分量を測定する装置

日本は高温多湿なので、特に水分量が他国に比べると影響を与える要因ですので、水分量調査には多くの引き合いがあります。

バージン材の状態と10回リサイクルした時、20回リサイクルした時とどう違うか分析する、そのリサイクル過程でのトレーサビリティを記録していく等の取り組みを行っています。

この品質管理の取り組みはカーペンターグループがLPWをM&Aした最大の理由とも言われています。LPWはもとよりカーペンターグループ全体でも導入されていますし、お客様への品質管理システムのご提供も行っています。

――「金属粉末のリサイクル」はパウダーベッド方式のように大量の金属パウダーを造形のたびに用意し、何回か使いまわす、という意味合いでよいでしょうか?

金属3Dプリンターのパウダーの履歴管理

はい、その通りです。パウダーベッド方式の金属3Dプリンターは大量の金属パウダーを敷き詰めたプールを用意し、その一部が造形に用いられます。造形されなかったパウダーはバキュームし回収の上、またつかわれると思います。これをパウダーのリサイクルと呼んでいます。リサイクルされるたびに異物混入(コンタミネーション)や変形など、工場出荷時のバージン材との違いが出てくるものです。その変化は造形物の仕上がりに影響を与えます。

いままでは勘と経験で評価していた造形材料の品質を定量的に計測していこうというのがAM金属粉末の物性測定サービスですが、製造現場でも流動性を計測するキットをご用意していますので、簡易指標ではありますが、自社で計測を続けることもできます。

――品質管理システムに関して教えてください。

AMのプロセス全体を管理する品質管理システム

物性調査はあくまで定点観測なので、本来は造形プロセス全体を管理する体制と仕組みが必要です。弊社ではソフトウェアによる管理とハードウェアによる管理の両方の側面からアプローチしています。「この生産ロットの原料パウダーは、未使用でガス充填された品質が変化しにくいバージン材なのか、それとも20回目のリサイクル材なのか」などのトレーサビリティを担保するための仕組みも含んでいます。たどっていけば、いつ、どこでつくったのか、生材の状態までさかのぼる事も可能です。こうした品質管理の仕組みをハード、ソフトまで一気通貫して整備している点は弊社の強みといえると思います。本格的な採用事例は日本でもまだすくないのですが、確実に始まっています。

――パウダーの販売も手掛けられていると思うのですが、AM用に取り扱っている鋼種のラインアップを教えてください。

カーペンターテクノロジーとの連携により アルミ、コバルト、鉄、ニッケル、チタン、タングステンカーバイド、コッパー、それらの特殊合金と多岐にわたります。金属粉の個別配合にも対応していますが、既製品の取り揃えが広い点は特徴的といえるでしょう。

――今回のTCT Japanの見どころを教えてください。

特殊合金に強みを持つカーペンターグループらしい製品としては、カスタム465というパウダーをご用意しています。これはベルギーのBMTエアロスペースとカーペンターテクノロジーが共同開発した航空宇宙用ピニオンギアに使用された特殊合金で、マルエージング鋼に迫る強度を持つパウダーです。マイクロクラック等への耐性も強い造形材料なので、是非スペックを会場でご確認いただければと思います。

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編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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