「3DP4ME」が、ヨルダンの難民に3Dプリント製の補聴器を提供
米国に本拠を置く非営利団体「3DP4ME」は、3Dスキャンとプリンティングを使用してヨルダンの難民の子供たちに3Dプリント製補聴器を提供した。(上部画像は「3DP4ME」のサイト。出典:3DP4ME)
紛争が度々起こるシリアとヨルダンでは多くの人々が難民となり、難民生活を余儀なくされている。その過酷な生活の中では騒音公害、毒性のある薬剤の後遺症、遺伝性疾患、慢性中耳感染症などが原因で起こる難聴が大きな課題となっている。ただ、補聴器や医療物資の不足もあり、難聴への治療や対策が十分でない状況だという。
難聴はコミュニケーション上の不便、社会的孤立、教育の機会の侵害、雇用の見通しの制限などに繋がる。こうした社会課題に対して、「3DP4ME」は国際的なNGO組織と提携し、聴覚障害を持つ難民の子どもたちの生活を変えるためにパーソナライズされた補聴器の製作支援を行う。それが、「Hearing Express プロジェクト」だ。
「Hearing Express プロジェクト」
「Hearing Express プロジェクト」は、米国の「3DP4ME」がヨルダンの協力者と3Dスキャナーや3Dプリンターを活用し、現地でカスタムフィットした補聴器を制作できるように支援する取り組みだ。現地で生産できるような体制を整備し、難聴に対する包括的な医療サポートを行うことで、難民への支援を現実的なコストで実現可能となる。
同プロジェクトでは52人の子供たちにカスタムフィットの補聴器を提供してきたが、難聴を持つ潜在的な候補者のリストは500人以上にも登るという。「3DP4ME」のアドバイザーを務めるサム・オヌクリ氏はジョンソン・エンド・ジョンソン社の3Dプリンティング・イノベーションおよびカスタマー・ソリューションの元責任者だ。同氏は、治療器具、医療機器の製造をデジタルワークフローとしての整備をすることで、政治的な理由で難民生活を余儀なくされている人々にも、適切な医療アクセスを提供できるとして今後の取り組みにも意欲を見せている。
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