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糖尿病性足部潰瘍の治療用3Dプリント包帯を開発 ― 英クイーンズ大学

クイーンズ大学のプレスリリーストップ

イギリスのクイーンズ大学の研究者グループは、糖尿病性足部潰瘍(DFU)を治癒するための革新的な治療法を提供する「3Dプリント包帯」を開発した。この研究は糖尿病管理における画期的な成果といわれておりBiomaterials Advances誌に掲載されている (上部画像はクイーンズ大学のプレスリリーストップ。出典:クイーンズ大学) 

糖尿病性足部潰瘍のための3Dプリント包帯

この糖尿病用「3Dプリント包帯」は、パーソナライズされた皮膚のような包帯で、3Dプリントの足場の作成に使用される脂質ナノ粒子とヒドロゲルを組み合わせ作成された。「3Dプリント包帯」は、糖尿病性潰瘍を治療するために抗生物質を充填した分子を、大量放出および持続放出する能力を持っている。患者の糖尿病性足場潰瘍を大幅に改善することが示されており、病院内で簡単に製造できる。そのため、将来的にはこれらの「3Dプリント包帯」がより持続可能で費用対効果の高い治療法となるというさらなる利点も見込める。  

 3Dプリントされた包帯
3Dプリントされた包帯(出典:クイーンズ大学) 

また、このアプローチは、医療専門家が治癒過程を確認するために何度も着脱する必要がなく、創傷被覆材を監視して必要な治療を提供できるため、医療専門家の時間を短縮し、患者ケアを改善できるだろう。  

世界の死因のトップ10に入る糖尿病

糖尿病は、血糖値が高くなることが原因の慢性疾患で、世界の死亡原因のトップ10に入っています。糖尿病性足部潰瘍は糖尿病の重篤な合併症であり、糖尿病患者の約25%が罹患しているという。発見された時点で、50%以上がすでに感染しており、症例の70%以上が下肢切断に至る甘く見ることができない症状だ。 

糖尿病性足部潰瘍を管理するためには、皮膚代替品や創傷包帯が有効とされる。しかし感染や炎症の管理、組織修復の促進に役立つ生理活性化合物を提供しながら、創傷環境を「制御下」に保つためいくつかの治療アプローチを組み合わせる必要がある、複雑なプロセスだ。結果として、糖尿病性足部潰瘍の治療には重大な臨床的および経済的負担が伴う上、失敗に終わるリスクも多く手軽とはいえない。  

2種類の薬剤を使った時間差ケア

そんな糖尿病性足部潰瘍を治療するため、研究チームは2つの異なるバイオインクを1本のフィラメントに組み合わせる3Dバイオプリンティング技術を使用した特別な3Dプリント包帯を開発した。

フィラメントの内部コアは、タイム油でカプセル化された脂質ナノ粒子を含むナノ複合ヒドロゲルだ。フィラメントの外殻はハイブリッドヒドロゲルであらわされ、タイムオイルが豊富に含まれている。タイムオイルやその他のエッセンシャルオイルは、天然抗生物質の代替品として有望であり、抗菌薬耐性の発生率の増加という問題への対処に役立つという。

この組み合わせにより、薬物分子の2つの異なる放出率が得られ、最初の24時間は大量放出され、最大10日間は持続放出される。最もリスクが高い時期である投与後の初期の疾患予防が可能になり、その後の抗菌効果が持続する数日間の持続的な感染予防が可能になることで、難易度の高い治療を円滑にすすめることに貢献できるという。

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