金属系積層造形技術を牽引するNikon SLM Solutions(ドイツ・リューベック)は、Allegheny Technologies Incorporated(アメリカ合衆国・ペンシルベニア州、以下、ATI)およびBechtel Plant Machinery, Inc.(アメリカ合衆国・ペンシルベニア州、以下、BPMI)との協業を発表した。本協業は、極超音速および海軍向け推進技術の開発において、重要な前進を示すものである。(上部画像はNikon SLM Solutionsのニュースページより。出典:Nikon SLM Solutions)
目次
ATI、極超音速・海軍推進システム向けに「NXG 600E」を導入
ATIは、米海軍の推進装置および極超音速兵器の製造における独自の課題に対応するために特別に選定された、生産システム「NXG 600E」を導入した。本協業は、防衛分野における新たな地平を切り拓くことを目的としており、NXG 600Eが誇る1.5メートルのZ軸高さと優れた生産能力を戦略的に活用する方針である。ATIは、高性能材料およびソリューションを提供するグローバル企業であり、航空宇宙や防衛分野をはじめとする先端技術の進展において豊富な実績を有している。
インコネル625とNXG 600Eの活用で国防需要に対応
ATIがNXG 600Eで使用を予定しているインコネル625は、極超音速技術、海軍の推進システム、産業用途において極めて重要な役割を果たす材料であり、これによりATIは米海軍のみならず、米国国防総省が新たに重視する各種プログラムにも対応可能となる。NXG 600EのATIへの納入は6月を予定しており、これは同社の金属積層造形能力の大幅な拡張を意味する。ATIは現在使用中のSLM125で得た好意的な経験を活かし、Nikon SLMのオープンアーキテクチャおよびパラメータ開発機能を最大限に活用する知見を既に有している。
Nikon SLM SolutionsのCEOであるサム・オリアリー氏は、今回の協業について次のように述べている。
「積層造形のダイナミックな進化の中で、Nikon SLM Solutionsは大きな前進を遂げようとしている。この戦略的な展開は、米国製の創意工夫と卓越した技術を提供し、最先端の積層造形技術によって防衛および航空宇宙分野を支援するという我々の揺るぎない姿勢を示すものである。」
続いて、BPMI(Bechtel Plant Machinery, Inc.)のインダストリアルベース管理エグゼクティブマネージャーであるネイサン・ワイダースパン氏は以下のように述べた。
「NXG 600Eの広大な造形容量と高度なサポート構造機能は、米海軍の推進システムの要件に完全に適合している」
「Nikon SLM Solutionsの最先端積層造形技術は、米海軍の即応態勢の強化において極めて重要な役割を果たすものであり、我が国の艦隊の維持および能力向上に大きく貢献することが期待されている。」
ATIおよびBPMIが築いてきた革新性、卓越性、そしてパートナーシップの長年にわたる実績は、工学および材料科学を通じて世界を変革するという両社の取り組みを力強く裏付けるものである。
ATIについて
ATIは、航空宇宙および防衛分野における高性能材料およびソリューションを提供するリーディングカンパニーである。世界で最も困難な課題に取り組んできた実績を持ち、パートナーがこれまでにない高度、速度、耐久性を実現できるよう支援している。
BPMIについて
BPMIは、米海軍原子力推進プログラム(NNPP)の主要請負業者である。BPMIは、原子力空母、潜水艦、および試作プラントに搭載される主要な推進装置部品の設計、調達、品質管理、納入に関与している。さらに、燃料補給やオーバーホールに伴う交換部品の提供、使用済み海軍燃料の保管・処分支援も行っている。
Nikon SLM Solutionsについて
Nikon SLM Solutionsは、金属AMにおける統合ソリューションを提供するグローバルリーダーである。創業以来、業界を牽引し続けており、顧客の長期的な成功を核に据えながら、あらゆる主要産業における金属AMの未来を切り拓いている。
同社は、最大12本のレーザーを搭載し、最大毎時1000ccmの造形速度を実現する、世界最速の金属積層造形装置を擁している。顧客ニーズに対応する多様な製品群と、各工程で密接に連携する専門家チームにより、投資収益率(ROI)を最大化しつつ、高効率・高生産性・高収益性を実現している。
ニコンの関連記事
今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。