EOS金属3Dプリンター向け新素材4種を発表、Formnextで初公開へ ― 国内で多用途展開を視野に販売開始

2025年11月17日
(出典:EOS社、NTTデータ ザムテクノロジーズ社)
(出典:EOS社、NTTデータ ザムテクノロジーズ社)

株式会社NTTデータ ザムテクノロジーズ(東京都江東区、以下、NTTデータ ザムテクノロジーズ)は、EOS社製の金属3Dプリンター向け純正材料として、新たに4種の金属粉末材料の国内販売を2025年11月6日より開始する。今回導入されるのは「EOS FeNi36」「EOS NickelAlloy C22」「EOS Steel 42CrMo4」「EOS StainlessSteel 316L-4404」であり、いずれもレーザー粉末床溶融結合法(L-PBF)方式に対応した素材である。これらの新材料は、航空宇宙、エネルギー、化学、モビリティ、海洋など、多岐にわたる産業分野の技術要件を満たすよう設計されており、金属積層造形の国内普及と応用範囲の拡大に寄与すると期待される。

各材料の概要と用途

EOS FeNi36
熱膨張係数の極端な低さ(2ppm/K未満)を特徴とし、温度変化が繰り返される環境下でも優れた寸法安定性を保つ。この特性により、光学機器部品や精密測定用インサートなど、ミクロン単位の精度が要求される用途に適している。EOS M 290に対応。

EOS FeNi36で造形したジェットエンジンノズル(出典:EOS社、NTTデータ ザムテクノロジーズ社)
EOS FeNi36で造形したジェットエンジンノズル(出典:EOS社、NTTデータ ザムテクノロジーズ社)

EOS NickelAlloy C22
高強度・高靭性とともに、優れた耐食性を兼ね備えるニッケル合金である。化学工業や食品加工など、腐食環境下でも高い信頼性を求められる領域での使用が想定される。EOS M 290で使用可能。

EOS NickelAlloy C22で造形したマニホールドチューブ
EOS NickelAlloy C22で造形したマニホールドチューブ(出典:EOS社、NTTデータ ザムテクノロジーズ社)

EOS Steel 42CrMo4
自動車業界で広く使われる構造用鋼をベースにした材料で、高靭性と高強度を持ち合わせる。ギア、シャフトといった機械的負荷の大きい部品の製造に適し、軽量化、開発期間の短縮、サプライチェーンの柔軟化にも寄与する。対応装置はEOS M 290。

EOS Steel 42CrMo4で造形したシャフト(出典:EOS社、NTTデータ ザムテクノロジーズ社)
EOS Steel 42CrMo4で造形したシャフト(出典:EOS社、NTTデータ ザムテクノロジーズ社)

EOS StainlessSteel 316L-4404
欧州標準に準拠したオーステナイト系ステンレス鋼で、高靭性・高延性・高耐食性を有し、化学、水処理、食品、海洋といった厳しい使用条件下での長期的安定性を提供する。コスト効率にも優れ、持続可能な製造工程に貢献する。本材料はEOS M 290、M 300-4、M 400、M 400-4に対応。

EOS StainlessSteel 316L-4404で造形したシャフト(出典:EOS社、NTTデータ ザムテクノロジーズ社)
EOS StainlessSteel 316L-4404で造形したシャフト(出典:EOS社、NTTデータ ザムテクノロジーズ社)


Formnextでの初披露と国内市場への波及

これら新材料は、2025年11月18日から21日にかけてドイツ・フランクフルトで開催される積層造形技術の国際展示会「Formnext」にて、EOS社のブースで初披露される。展示では、ジェットエンジンノズルや光学機器部品など、各材料を用いた実例が紹介され、技術説明も実施される予定である。

本発表は、国内での金属積層造形技術の利用拡大に資するものであり、特に用途別に最適化された素材を選定可能とすることで、ユーザーにとっての利便性と柔軟性が向上する。NTTデータ ザムテクノロジーズは、今後も材料・装置・アプリケーションの三位一体の提案を通じて、AMの産業利用をさらに加速させる構えである。


シェアラボ編集部コメント

今回発表された4種の金属材料は、単なるラインナップの拡充にとどまらず、EOS社製3Dプリンターの活用範囲を実用レベルで広げる意義深い取り組みといえる。特に、寸法安定性に優れたFeNi36や、高耐食性のNickelAlloy C22といった特性重視の素材は、従来では対応が難しかった産業用途への扉を開くものだ。

国内製造業においては、金属AMの導入検討が増える中で、「どの材料がどの用途に最適か」という判断材料が求められている。今回のように、明確な用途別特性が示された素材の導入は、実装へのハードルを下げるだけでなく、材料選定の精度を高める後押しにもなるだろう。

Formnextでの展示を経て、国内でも積極的な活用事例が出てくることに期待したい。特に試作止まりではなく、実生産への転換が進むかが今後の注目ポイントだ。


用語解説

■ EOS社
ドイツに本社を置く、金属・樹脂対応の産業用3Dプリンターメーカー。L-PBF方式で世界をリードし、日本ではNTTデータ ザムテクノロジーズが販売を担当。
■ NTTデータ ザムテクノロジーズ
NTTデータグループの一員であり、EOS社製3Dプリンターの販売や技術サポートを提供。金属AMの国内普及を推進している。
■ 金属3Dプリンター
金属粉末を用いて、レーザーなどで選択的に溶融・凝固を繰り返し、層状に積み重ねて部品を造形する装置。複雑形状や少量多品種に適している。
■ L-PBF(Laser Powder Bed Fusion)
レーザー粉末床溶融結合法。粉末材料を敷き詰めた層にレーザーを照射して溶融し、固化させる方式。高精度かつ緻密な金属造形が可能。
■ Formnext(フォームネクスト)
ドイツ・フランクフルトで開催される積層造形技術の国際展示会。装置メーカーから素材・ソフトウェアまで、世界中のAM関連企業が出展する。
■ FeNi36(インバー合金)
鉄とニッケルを主成分とする合金で、熱膨張率が非常に低い。温度変化による寸法変動が少ないため、光学部品や精密計測機器に用いられる。
■ NickelAlloy C22
高い耐食性と強度を併せ持つニッケル基合金。化学・食品・医薬分野など、腐食環境にさらされる用途に適している。
■ 42CrMo4
クロムモリブデン系の合金鋼。自動車部品に多用され、優れた靭性と疲労強度を備えるため、ギアやシャフトなどの重要部位に使用される。
■ StainlessSteel 316L-4404
高耐食性・高靭性を持つオーステナイト系ステンレス鋼。水処理や食品機械、海洋部品などの厳しい環境下でも安定した性能を発揮する。

金属材料の関連記事

今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中からピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

関連記事を探す

記事検索

1949の記事から探す

最新記事

編集部のおススメ記事