BroseとCNPC Powder、自動車AMで循環型製造を推進!鋼材スクラップを金属粉末へ再資源化

2026年1月15日
出典:CNPC Powder
出典:CNPC Powder

金属粉末メーカーCNPC Powderと、ドイツの自動車部品サプライヤーBroseは、自動車産業における循環型かつ環境配慮型の製造体制を推進するため、戦略的パートナーシップを締結した。Broseの中国拠点で発生する鋼材スクラップを回収し、CNPC Powderが積層造形(AM)向けの鉄系金属粉末へと再生するクローズドループ型の取り組みである。

鋼材スクラップを高付加価値なAM材料へ

本協業では、Broseのプレス工程などから生じる打ち抜き廃材を原料とし、CNPC Powderが鉄系粉末として再製造する。生産工程内で発生した廃材をそのまま廃棄せず、AM用材料として再利用する点が特徴で、自動車サプライチェーン全体での資源循環を意識したモデルとなっている。

CNPC Powderは、AMPやPSといった球状化技術を用い、高い真球度、良好な流動性、安定した粒度分布、低酸素含有量を備えた金属粉末を製造している。これらの粉末は自動車業界の品質規格であるIATF 16949にも対応しており、量産用途を視野に入れた材料品質が確保されている。

出典:CNPC Powder
出典:CNPC Powder

ESG対応と原材料依存の低減

本取り組みは、原材料調達への依存度を下げると同時に、産業廃棄物の削減にも寄与する。Broseが掲げる環境・社会・ガバナンス(ESG)方針の実行手段のひとつとしても位置づけられており、AMを単なる試作技術ではなく、持続可能な製造基盤として活用しようとする姿勢がうかがえる。

CNPC Powderはこれまでも、100%リサイクル原料を用いたTi6Al4V Grade 23粉末(SCS認証取得)や、高真球度のAlSi10Mg粉末などを手がけており、再生材を前提とした材料開発の実績を持つ。

「グリーンスチール」粉末の実用化を検証中

今回新たに開発された「グリーンスチール」金属粉末は、Broseのプレス工場から発生する鋼板スクラップのみを原料としている。従来の鋼板部品と同等の化学組成および機械特性を保持しており、AM装置との適合性を満たす点が特徴だ。現在は将来的な量産化に向けた評価段階にあるものの、実用化されれば、自動車分野における循環型AMの代表例となる可能性がある。

AMを量産前提で使う自動車サプライヤーの姿勢

Broseは、ドア、テールゲート、シート、電動モーターなどの車両システムを開発・製造する非上場企業である。200ワットから14キロワットまでの電動モーターを手がけ、ステアリング、熱管理、電動キックボードなど幅広い用途に供給している。世界24カ国・68拠点に約3万1,000人の従業員を擁し、AMを活用することで開発スピードを高めつつ、試作品と量産品の材料差を最小限に抑えている。

シェアラボ編集部コメント

自動車分野のAM活用は、設計自由度や開発スピードが語られがちだが、本事例は「材料そのものを循環させる」という点に価値がある。プレス工程の廃材をAM用粉末として再投入できれば、材料調達・廃棄の両面で合理性が高まる。日本の自動車産業でも、AMを工程の外側ではなく、素材循環の中に組み込む発想は参考になるだろう。

用語解説

■ クローズドループ製造
製造工程で発生した廃材や副産物を回収し、同一または関連する製造プロセスに再投入する循環型の生産方式。
■ 金属粉末の球状化
金属粉末を高真球度に整える工程。流動性や造形安定性が向上し、積層造形に適した材料特性が得られる。

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