「データ準備をスマートに、プリントをもっと自由に」ミマキ、3Dプリント用データ最適化ソフトを大幅アップデート

出典:ミマキエンジニアリング
出典:ミマキエンジニアリング

株式会社ミマキエンジニアリングは、3Dプリンタ造形前に必要となるデータ準備工程を自動化するソフトウェア「Mimaki 3D Print prep Pro」の新バージョン「ver2.0」を、2026年6月より提供開始する。本アップデートでは、ラティス構造生成やスキャンデータの直接変換など、現場での実用性を高める機能が追加されている。

データ準備が普及のボトルネックに

3Dプリントは試作だけでなく、最終製品や医療、建築、個人用途へと広がっている。一方で、造形前のデータ準備工程は依然として専門性が高く、普及の妨げとなっている。CADや3Dスキャンなどで作成されたデータは、そのままでは造形できないケースが多い。形状の欠損やメッシュの乱れを修正する必要があり、専用ソフトも高価かつ操作が複雑である。こうした背景から、データ準備の自動化・簡素化は重要なテーマとなっている。

ラティス構造で軽量化と機能性を両立

ver2.0では、内部構造を自動で格子(ラティス)化する機能を新たに搭載した。従来の中空・中実に加え、4種類の格子パターンと密度調整が可能となり、軽量化と強度の最適化を両立する。柔軟材料と組み合わせることで、クッション性や布のような質感の再現にも対応する。靴や家具の試作に加え、ロボットハンドの把持性能評価など、設計検証用途への展開も見込まれる。

左:中実構造の造形物/右:格子構造の造形物。格子構造により約15%の軽量化を実現。いずれも当社製フルカラー3Dプリンタによる造形。(出典:出典:ミマキエンジニアリング)
左:中実構造の造形物/右:格子構造の造形物。格子構造により約15%の軽量化を実現。いずれも当社製フルカラー3Dプリンタによる造形。(出典:ミマキエンジニアリング)
生地の柔軟性とクッション性を再現した造形物。市販の光造形方式3Dプリンタで製作。(出典:ミマキエンジニアリング)
生地の柔軟性とクッション性を再現した造形物。市販の光造形方式3Dプリンタで製作。(出典:ミマキエンジニアリング)
ロボットアーム先端形状の試作イメージ(出典:ミマキエンジニアリング)
ロボットアーム先端形状の試作イメージ(出典:ミマキエンジニアリング)

LiDARデータから直接造形へ

ドローンなどで取得したLiDARデータを、そのまま3Dプリント用データへ変換できる機能も追加された。従来は複数工程を必要としていたが、本ソフト単体で完結できるようになり、地形モデルや建築再現などの用途で効率化が期待される。

地形のLiDARスキャンデータ(左)と、それを基に3Dプリントした造形物(右)出典:ミマキエンジニアリング
地形のLiDARスキャンデータ(左)と、それを基に3Dプリントした造形物(右)出典:ミマキエンジニアリング

CTデータもワンストップで処理

CTスキャンデータについても、3Dプリント用データへの変換を単一ソフト内で実行可能となった。これにより、従来複数ソフトをまたいでいた工程が整理され、医療分野では治療検討用モデルの迅速な作成、研究分野では内部構造の可視化モデル作成が容易になる。

CTスキャンデータから3Dプリントまでのワークフロー例(出典:ミマキエンジニアリング)
CTスキャンデータから3Dプリントまでのワークフロー例(出典:ミマキエンジニアリング)
巻貝のCTスキャンデータのイメージ(出典:ミマキエンジニアリング)
巻貝のCTスキャンデータのイメージ(出典:ミマキエンジニアリング)

オフライン対応で機密性にも配慮

これまでクラウド限定であったが、ver2.0ではオフライン環境での利用にも対応した。機密情報や知的財産を扱う現場においても運用しやすくなる。ただし、ミマキ製3Dプリンタユーザーに限定される点や、一部機能制限、ライセンス認証のための定期接続が必要となる。

編集部コメント

3Dプリントの課題は「造形そのもの」よりも、むしろその前段階であるデータ準備にあるケースが多い。今回のアップデートは、そのボトルネックに正面から対応した内容である。特にラティス構造の自動生成と、LiDAR・CTデータの一括処理は、設計から造形までの距離を縮める要素となる。製造現場だけでなく、建築・医療・文化財分野まで含めた活用拡大の土台を整える動きといえる。

用語解説

■ ラティス構造
内部を格子状にした構造のこと。軽量化と強度のバランスを取りやすく、3Dプリントにおいては材料使用量の削減や機能性向上に寄与する。
■ LiDAR
レーザー光を用いて距離を測定し、対象物の形状を3Dデータとして取得する技術。ドローン測量や地形解析などで広く活用されている。
■ CTスキャン
X線を用いて対象物の断面画像を取得し、内部構造を可視化する技術。医療だけでなく、工業製品や文化財の解析にも利用される。

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