三菱電機 電子ビーム金属 3D プリンター「EZ300」発売
三菱電機株式会社は、国内初となる電子ビームを熱源とする粉末床溶融結合方式を用いた金属 3D プリンター「EZ300」を 9 月 2 日に発売開始した。業界最高の加工速度毎時 250 cc と独自の棒状陰極の採用による業界最長の加熱寿命1,000 時間を実現し、製造現場の生産性向上に貢献するという。希望小売価格は9800万円。目標販売数は年間10台。
造形ボックスサイズは300㎜×300㎜×380㎜。200v電源で稼働し、本体重量は4200kg。付帯チラーにて冷却をおこなう。
開発経緯
もともと国際競争力のある金属3Dプリンターを開発しようという目的の元、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)がTRAFAM(次世代3D積層造形技術総合開発機構)に金属3Dプリンターの開発を委託していた。受託したTRAFAMは レーザー融解、ビーム融解の2系統の方式で参加企業間で共同開発を行うという体裁で開発を進めた。三菱重工工作機械がレーザー方式の3Dプリンターの初号機として「ラムダ」(下の写真)を4月に発売し、それに引き続き先述の多田電機および親会社の三菱電機が電子ビーム方式「EZ300」を開発したという経緯になる。
電子ビームとレーザの違い
区別がわかりにくく使われている「レーザー」と「ビーム」という言葉だが、「ビーム」は光線・エネルギーなど見えないものの線を指す英単語。「レーザー」は輻射の誘導放出による光の増幅を意味するLight Amplification Stimulated Emission Radiationの頭文字をとってLASERと名付けられた言葉。波長が同じ光を増幅して発振する。
金属3Dプリンターとしての特性の違い
レーザー方式とビーム方式で積層造形上の得意不得意が、存在する。レーザー溶融の特性としては、高精度・三次元複雑形状品の製作が可能な点でビームより優れている。 ビーム融解方式は、高真空中での造形の為、チタン合金など生体材料の製造に有利でレーザー溶融よりも高速度造形が可能だ。
2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。