実物大のスクラムジェットエンジンの試作に成功 ― パデュー大学
アメリカのパデュー大学のセンター、パデュー応用研究所(PARI)のチームは、最先端の3Dプリント技術を活用して、実物大の完全に動作するスクラムジェットエンジンのプロトタイプの開発に成功した。スクラムジェットエンジンは航空機がマッハ5以上の速度で飛行できるようにするエンジンで、次世代の飛行機や、宇宙輸送機向けのエンジンとして開発が進められている。パデューの極超音速先端製造技術センター(HAMTC)が主導するこの画期的な進歩は、極超音速産業における記念碑的な飛躍を意味する。(上部画像はスクラムジェットエンジン開発のようす。出典:パデュー大学)
3Dプリンターの活用で時間とコストを節約
プロトタイプの開発では、エンジンの動作に必要な機能を損なうことなく、重量と部品を削減することが重要となる。これを実現するために、GE Additive社の大型金属3Dプリンター「Concept Laser X Line 2000R」が採用された。
「Concept Laser X Line 2000R」は粉末床溶融結合法(PBF方式)の金属3Dプリンターで、プリンターのレーザーが粒子を溶かして融合させることで固体部品を形成する。この機能とプリンターの大容量により、エンジンの構築に必要な部品数の削減が可能になった。
スクラムジェットエンジンの研究開発を行う多くの研究所では、テスト用の小型エンジンしか造形ができないという課題がある。しかし、パデュー大学では、エンジンの飛行に関連した規模と条件でテストできる施設も備えており、開発が効率的に進められたという。
3Dプリンターの活用により生産速度とコスト効率が向上すれば、経費が削減されるだけでなく、テストも繰り返し行えるようになる。結果として、高まるニーズや期待へ、短期間で応えられるようにもなる。
HAMTCのエグゼクティブディレクター、マイケル・サンギッド氏は、このプロジェクトの成功について次のように述べている。
原料の粉末を取得し、それを現場でのプロトタイプからの代表的なテストデータに数か月以内に変換できます。これにより、積層造形の柔軟性をコンポーネントの設計に活用して、効率を向上させることができます。
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