SpaceX社、Velo3D社との800万ドル(約11億5千万円)のライセンス契約を締結
SpaceX社は、Velo3D社との契約により、総額800万ドル(約11億5千万円)で同社のAM技術に関するライセンスを取得した。この契約には、技術ライセンスに対して500万ドル(約7億2千万円)、エンジニアリングおよびサポートサービスに対して300万ドル(約4億3千万円)が含まれている。契約の目的は、SpaceX社がVelo3D社の技術を活用して、自社のロケットエンジンや関連部品の製造を効率化することであり、両社にとって戦略的な協力関係を築くものとなっている。(上部画像は米国証券取引委員会(SEC)によって公開されたForm 8-Kの抜粋部分。出典:Velo3D社)
SpaceX社が導入した3Dプリンタとその用途
SpaceX社は、少なくとも22台のVelo3D社製Sapphireレーザービーム粉末床溶融積層造形(PBF-LB)金属3Dプリンタを導入している。これらのプリンタは、主に「Raptor 3エンジン」を含む複雑なロケット部品の製造に使用されている。この技術により、SpaceX社は従来の製造方法では難しい高精度な部品を迅速に作成でき、さらなるコスト削減と生産効率の向上が期待されている。
「Raptor 3エンジン」についてはシェアラボで以前取り上げたこちらの記事も併せてご覧いただきたい。
ライセンスの詳細と知的財産権
契約に基づき、SpaceX社はVelo3D社のAM技術に関して、全世界での非独占的、ロイヤリティフリー、かつ永続的なライセンスを取得している。このライセンスは、SpaceX社が自社の内部業務において技術を使用、改良、製造、開発することを可能にするものである。知的財産権については、Velo3D社が行う改良はVelo3D社に帰属し、SpaceX社が行う改良はSpaceX社が所有することが明記されている。
契約における将来の技術改良に関する条項
この契約には、将来的な技術改良に関する条項も含まれている。SpaceX社が取得したライセンスは、契約日以降12か月以内にVelo3D社が行う全ての技術改良や変更にも適用される。さらに、SpaceX社が独自に行った技術改良に関しては、そのすべてがSpaceXに帰属し、Velo3D社にはソースコードや技術文書を提供する義務が発生しないことが明記されている。
破産条項の取り扱い
契約書には破産に関する条項も含まれており、Velo3D社が破産した場合でも、SpaceX社が取得した権利やライセンスは米国破産法第365条(n)に基づいて保護される。この条項により、SpaceX社は契約条件に従い、引き続きVelo3D社の技術を使用できる。また、SpaceX社は、契約で付与された全ての知的財産に完全なアクセス権を持つことが保証されている。
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