eスポーツ専用ゲーミングシートを大型3Dプリンターで開発-ExtraBold
東京都豊島区に本社を構える3DプリンターメーカーのExtraBold社は、愛知県岡崎市の前田技研社の東京拠点となる「MG東京ファクトリー」と共同でeスポーツ専用のゲーミングシート「GT EXPERIENCE CONCEPT」を開発した。製品としての発売時期は2022年秋頃を目標としている。
デザイン監修は愛知県安城市を拠点にプロダクトデザインを手がけるD-WEBER社が、世界的な自動車フォトグラファー北畠 主税氏をプロデューサーに迎え、自社プロジェクトブランド「4DESIGN by DW」の1つとして行われた。
「GT EXPERIENCE CONCEPT」の製作背景
「GT EXPERIENCE CONCEPT」は、近年盛り上がりをみせるeスポーツを「もっともっと楽しみたい!という心の高ぶりを美しい立体で表現したゲーミングシートを製作したい」という思いを持つプロダクトデザイナーの水野氏(D-WEBER社)と、フォトグラファーの北畠氏、ExtraBold社の大型3Dプリンター「EXF-12」を用いて造形受託サービスを行っている前田技研社のMG東京ファクトリーとExtraBold社の共同で行われた。
ExtraBold社の3Dプリンター「EXF-12」を用いた前田技研社の造形受託サービスについては、以前ShareLabNEWSでも詳しく取り上げている。
3Dプリンターの特性を活かした造形
3Dプリンターでは素材を射出し、それを積み重ねていくことで造形を行う。このときに積層痕が発生するが、ゲーミングシート「GT EXPERIENCE CONCEPT」では、3Dプリンターならではの積層痕を活かしたデザインが考案された。
これまでにない製品を開発する上で重視されたのは水野氏の初期コンセプトイメージにできるだけ忠実なものとすることだ。造形用データの修正や3Dプリント出力は複数回に及んだものの、最終版にはコンセプトイメージに沿ったものが完成したとのこと。
3Dプリンターで造形するための苦労した部分
造形時にポイントとなったのは「どこで3Dプリントを分割するか」だ。大型3Dプリンターの「EXF-12」と言っても一度にゲーミングシートのすべてを3Dプリントすることはできない。ここにも多くの試行錯誤があったという。
スピーカーの保護と音質調整の助けとなるスピーカーグリルを空中で造形することで、3Dプリントならではの独特の形状の実現に成功した。3Dプリント素材としてはゴム弾性を有するエラストマーが採用されている。
今後の展開
ゲーミングシート「GT EXPERIENCE CONCEPT」の製品化後の販売先のメインターゲットには自動車関係・レース関係者・eスポーツ会場・カーディーラーを視野に入れ、年10~15台程度の販売を目指すとしている。発売時期は2022年秋頃となる予定だ。
次々と新しいプロジェクトに取り組む3DプリンターメーカーのExtraBold社には、ShareLabNEWSも大きな注目を寄せている。これまでExtraBold社が携わってきた3Dプリンター製帆船型ドローンの実用化や、3Dプリンター用の素材を用いずに一般的な多様の樹脂ペレットを使用できる新型プリントヘッドの開発について取り上げてきた。
そちらもぜひ参照してほしい。
関連情報
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