世界初!3Dプリント住宅による「ゼロ・ネット・エネルギー」住宅建設ーーMighty Buildings
アメリカのカリフォルニア州に拠点を置く住宅メーカーのMighty Buildings社が、世界初となる3Dプリンター製のゼロ・ネット・エネルギー住宅を南カリフォルニアに完成させた。
ゼロ・ネット・エネルギー住宅とは、太陽光発電や省エネ技術によって家庭のエネルギー消費量と同量以上のエネルギーを生み出す住宅のことで、持続可能な住宅として住宅所有者にも環境にとっても大きなメリットがある。
将来的には40戸以上からなるコミュニティにしていく予定で、今回完成したゼロ・ネット・エネルギー3Dプリント住宅が1戸目となる。(画像はMighty Buildings社の3Dプリント住宅 出典:Mighty Buildings社)
Mighty Buildings社のゼロ・ネット・エネルギー3Dプリント住宅の特徴
Mighty Buildings社は「美しく持続可能な高品質の住宅を3Dプリントすることで建設業界に変革をもたらす」ことをミッションに掲げる住宅メーカーだ。完成した住宅は、プレハブ3Dプリントパネルを使用して建設された。
3Dプリント製のパネルを用いることで、現場での建設時間は半分以下に短縮される。3Dプリント住宅に使用される壁はコンクリートが含まれず、壁材のうちの60%はリサイクルされた素材が使用されている。Mighty Buildings社は、住宅1平方フィートあたりの必要材料が少なくなるため、従来建築の住宅と比較して廃棄物が99%も少なくなると発表している。
Mighty Buildings社の3Dプリント住宅は、気候変動やハリケーン、高水圧、火災、カビ、昆虫、極端な気温にも耐えられるように設計されている。また、入居者が希望する独自の3Dプリントデザインを取り入れることも可能だ。
気候変動に配慮した建築への転換を加速するため、Mighty Buildings社は世界の住宅開発業者とのBtoBパートナーシップにも注力している。複数の場所で50戸以上のコミュニティを迅速に形成する準備も整っていると発表された。
Mighty Buildings社のCEOであるSlava Solonitsyn氏は次のようにコメントしている。
「私たちは、将来的に持続可能な住宅の標準になると信じているものを完成させた世界で最初の企業になることに興奮しています。その結果、住宅デベロッパーは、収益性、品質、デザイン、地球保護の間で選択を迫られることがなくなります。史上初の3Dプリントによるゼロ・ネット・エネルギー住宅は、独自の認定建設技術や、熱伝導率を劇的に低下させる画期的なコンクリート代替技術の創出など、長年の研究開発プロセスの成果です。また、製造技術においては、高度な自動化・ロボット化により、完成までの時間を半分以下に短縮。このようにして、住宅全体を4~5か月で建設することができ、現場での完成が大幅に早まり、住宅購入者の満足度、現場作業員の生産性、デベロッパーの収益向上につながります。」
建設現場における工期短縮やコストダウンのために、3Dプリンターが使用される事例は、世界中で増えてきている。しかし、世界初となる3Dプリンター製のゼロ・ネット・エネルギー住宅の完成は、業界にとって大きなニュースとなるだろう。今回の事例を皮切りに、持続可能な住宅建設のために、従来の方法ではなく3Dプリンターの使用が優先される場面も増えてくると予想される。今後の動向にも注目したい。
ShareLabNEWSが過去に取り上げてきた建築関連のニュースは以下のリンクにまとめてある。そちらもぜひご覧いただきたい。
https://news.sharelab.jp/category/cases/construction/
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