動物の命を救う最新テクノロジー!3Dプリンターが使われた海外/国内の動物病院の事例紹介
医療分野での活用が進んでいる3Dプリンター。人間だけでなく、動物を対象にした開発・導入も進んでいるのはご存知だろうか。今回は、世界の動物病院における3Dプリンターの活用事例を紹介する。(画像は3Dプリンターで製作された動物用の医療機具/出典:PlayVet)
【海外編】動物病院での3Dプリンター活用事例
イタリアの動物用医療機器メーカー「PlayCast」では、獣医分野専用のブランド「PlayVet」を展開している。「PlayVet」 の特徴は、獣医による監修のもと、患者(動物)に必要な治療器具をゼロから設計している点だ。体の大きさや形、病状などは患者によって千差万別であるため、既成の治療器具ではすべての患者のニーズに応えることがむずかしい。「PlayVet」 が有するスキャン技術を応用し、過去の臨床症例や患者の病状をふまえて治療器具を3Dプリントすることで、あらゆる患者のニーズを満たすことができる。カスタムオーダーメイドの治療器具を開発することは、患者だけでなく、治療を行う獣医にとっても大きなメリットだ。
「PlayVet」 のメンバーは、「私たちは、患者、医師、そして最終的には飼い主にとってカスタマイズされたソリューションという点で最高のものを提供するために、獣外科医のパートナーであり続けたいと考えています。」と述べている。
【日本編】動物病院での3Dプリンター活用事例
神奈川県横浜市にある藤井動物病院では、整形外科専門獣医師グループの「ONE for Animals(ワンフォーアニマル)」と共同で、3Dプリンターを使用した前腕の変形矯正手術を成功させた。
今回の事例では、本手術の前に3Dプリンターモデルの作成と模擬手術を実施した。3Dプリンターモデルの作成手順は以下のとおりである。
- CT撮影したものを3次元の画像にしたあと、3Dプリンターで実物大の骨の模型を作成
- コンピューター画面上で設定した骨切り位置を実物大の3Dモデルにて確認し設定した角度で骨切りを実施
上記の3Dプリンターモデルをもとに模擬手術を行ったことで、これまでは矯正が困難で述語の合併症が生じやすかった「変形点が複数ある前腕の矯正手術」を正確に実施することができた。さらに、手術担当者の主観に頼っていた従来の手術方法と比べて、手術にかかる時間を大幅に短縮できたのである。
術語8週間が経過した患者の前腕は、右側前肢の外反が改善しており、術後の経過も良好だという。
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