AIおよび3Dプリンティング技術を活用した義肢装具製造ソリューションを展開するインスタリム株式会社(東京都墨田区、以下、インスタリム)は、国際連合工業開発機関(UNIDO)が実施する「グローバルサウス諸国への日本からの技術移転を通じた産業協力プログラム」に採択されたと発表した。本事業は予算規模10億円の大型実証であり、インド全国における義足・義肢装具製造のDX化を通じて、供給量拡大と人口カバー率の向上を目指す。
目次
インドで深刻化する義肢装具の供給格差
インドおよび南アジア地域は、世界最大級の義肢装具需要を抱える一方で、供給不足が続いている。糖尿病性壊疽や交通事故などによる四肢切断者が増加傾向にあるものの、義足・義肢装具の提供拠点は大都市に集中し、地方部への供給は限定的である。
また、現地NGOなどが低価格で提供する義肢装具は品質面で課題を抱えることが多く、高品質な製品は極めて高価となり、「品質とコストの両立」が困難であることが大きな壁となっている。
AI×3Dプリントによる標準化ソリューションを全国展開へ
インスタリムは、AIバンドルの3D-CAD、3Dプリンター、義足製造・メンテナンス技術などを組み合わせた標準化ソリューションを開発し、インド全国および南アジア地域の中規模以上の義肢装具製造施設(義肢装具製作所、病院、NGO等)へ提供する。
導入先施設では、生産量の50%以上を同社ソリューションによる製造へ転換することを目標とし、義足・義肢装具の供給能力強化を図る。
End to Endの製造DXと持続可能な事業モデルの検証
本実証事業では、生産機能に留まらず、品質管理・顧客管理を含むEnd to Endの義肢装具製造機能を統合したトータルソリューションとして再パッケージ化する方針である。
加えて、専用素材(フィラメント)の販売やソフトウェアライセンスのサブスクリプション、レベニューシェアなどを軸に、持続可能なビジネスモデルの構築も検証する。
南アジア地域への横展開と人材育成も視野に
同社はこれまで、世界最大規模の義足製造組織であるインド義足製造公社(ALIMCO)や、世界最大級の義足提供NGO「ジャイプールフット(BMVSS Jaipur Foot)」への技術導入を進めてきた。
本事業では対象をインド全国へ拡大し、将来的にはバングラデシュなど周辺国への横展開も計画している。現地大学など教育機関と連携し、義肢装具製造スタッフへの技術教育を進めることで、長期的な普及に向けた能力構築も推進する。

シェアラボ編集部コメント
義肢装具分野は3Dプリンター活用が進む領域の一つであるが、今回の取り組みは「単発の導入」ではなく、全国規模で製造プロセスを標準化し、供給体制そのものをDX化する点が特徴である。
医療・福祉領域における3Dプリンター活用は、日本国内でも今後さらに重要性が高まる可能性があり、インドでの大規模実証の成果は注目される。
用語解説
| ■ 義肢装具(ぎしそうぐ) 事故や病気などで失われた手足の機能を補うための人工の手足(義肢)や、身体を支える装具の総称。義足・義手のほか、コルセットやサポーターなども含まれる。 |
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