国境なき医師団がパレスチナでの医療に3Dプリンターを活用
国境なき医師団(MSF)は、パレスチナ・ガザ地区の病院で、顔のやけどに苦しむ子どもたちに3D技術を用いた特別な治療を提供していると2023年9月29日に公式ブログで発表した。顔に火傷を負った子供たちの心理的なケア、身体的なケアの一環として3Dスキャン技術と3Dプリンティング技術を活用して、患者個人の顔にフィットする皮膚の養生マスクを製作しているという。(上部画像は国境なき医師団のサイト。出典:国境なき医師団)
火傷した皮膚を保護するマスクを迅速に製作
この取り組みは2020年にMSF財団と国境なき医師団が共同開発したもので、ショート動画でも取り組みがまとめられている。
5つのステップで患者の皮膚を養生するマスクを製作
取り組み内容を概観すると、以下の5つのステップで顔の火傷で苦しむ子供の治療の促進のために養生マスクを製作している。
- 3Dスキャナーで患者である子供の顔をスキャニング
- 3Dプリンターで患者にフィットするマスター型(雄型)を造形
- マスクをもとに石膏型(雌型)を作成
- 石膏型を使って、生体適合性のある透明な樹脂を加熱成形
- 形状を整え完成となる。
この患者にフィットするマスクは、包帯などと違い顔を覆い隠す必要がなく、患者の皮膚を保護、傷跡の治癒を助けてくれる働きがある。この3Dスキャンと3Dプリンターを活用した医療プロジェクトは、国境なき医師団が患者中心のケアを提供し、それぞれのニーズに合わせて治療を組み立てていく取り組みの一つとなっている。
戦火の中でこそ医療が必要
奇しくもこのニュースが公開されてからまもなく、小康状態を保っていたパレスチナ地区での戦端が開かれてしまった。現地では激しい戦闘が繰り広げられていることが国境なき医師団のブログでも報告されている。
医療業界の関連リンク
今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。
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