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車両用部品、3Dプリンターとデジタルネットワークで大量生産を実現!?

列車イメージ画像

フランスのスマートモビリティ企業Alstomが、Repliqueと共同で、3Dプリンティングによる部品の大量生産に取り組む。Repliqueの提供するプラットフォームは、最適な技術選択と大量生産体制の確立スピードに大きく貢献した。

3Dプリンターによるマスプロダクション

3Dプリンターは細かな仕様変更が容易だ。ただし、それは少量生産に限る。

一般に、部品を大量生産する場合には、専用のラインを組み、鋳造した方が1個当たりのコストは安い。しかし、近年では3Dプリンターによる連続生産技術にも進歩が見られる。

例えば、原料の輸送装置や後加工装置とを連続的に接続し、単一のソフトで管理するシステムが開発された。

未だ万単位の大量生産が必要な場面ではライン生産に軍配が上がるが、100個、200個規模で細かな仕様変更が度々生じる場面であれば、3Dプリンターの活用も視野に入ってくる。

ドアストッパーをわずか1か月半で連続生産体制を確立

Alstomは、鉄道をはじめとしたモビリティ製品の開発・販売を幅広く手掛けているフランスの多国籍企業だ。以前からスペアパーツの製造などに3Dプリンターを取り入れてきた。

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しかし、今回新たに3Dプリンターで作製したドアストッパーは、ある程度の点数を要し、一から設計を組み立てる必要があった。ドアストッパーが必要となった経緯は列車の内装変更だ。

Alstomの顧客である鉄道運営事業者は、ファーストクラスとセカンドクラスを分割する必要に迫られていた。金属製ドアストッパーは、列車の内装変更に必要になる。

Alstomは、鉄道会社から注文を受けたドアストッパーを1カ月半という短い期間で連続生産まで漕ぎつけた。この成功には、Repliqueの協力が大きく関わっている。

Alstom製ドアストッパー
Alstom製ドアストッパー(出典:Alstom)

Repliqueのプラットフォーム

Repliqueは材料科学とデジタル化に強みを持つスタートアップ企業だ。Repliqueが作り上げた3Dプリンティングネットワークは、顧客が求める仕様と3Dプリント事業者を結びつけ、最適なソリューションを顧客に提供することができる。

Alstomの3DプリンティングハブマネージャーであるBen Boese氏は以下のように語っている。

「アディティブマニュファクチャリング市場は依然として非常に断片化されているため、エンドユーザーが各部品に最適なソリューションを見つけることは不可能です。Repliqueを使用すると、単一のソースから全ての主要なアディティブマニュファクチャリング技術と材料の恩恵を受けられます。さらに、最適な技術が次々と開発されていくのです。」

この事例から、3Dプリンティングはデジタルネットワークの水平的な繋がりと大変相性が良いことが分かる。3Dプリント用プラットフォームを活用すれば、自社で技術や装置を保有せずに、部品の大量生産が可能となる。

3Dプリントとデジタルネットワークによってモノづくりの形は大きく変わることになるだろう。

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