使用済みプラスチックから生まれた巨大な馬のモニュメント、フィレンツェで公開
イタリア、フィレンツェのパルコ・サン・サルヴィにおいて、使用済みプラスチックをリサイクルして3Dプリントされた巨大な馬のモニュメントが公開された。これはリサイクル企業R3direct社と3Dプリント技術を専門とするWASP社の協力により実現したものだ。廃棄物をアートに変えるという試みは、循環経済の理念に基づき、都市と自然の共生を象徴する新たな公共アートの形として注目を集めている。(上部画像はモニュメント製作時。出典:WASP社)
レオナルド・ダ・ヴィンチに着想を得た作品
「21世紀のマルコ・カヴァッロ」と名付けられたこの馬のモニュメントは、1973年に制作された青い馬の彫刻「マルコ・カヴァッロ」にインスピレーションを受けている。マルコ・カヴァッロは精神保健の象徴として知られており、今回の3Dプリント作品もその理念を受け継いでいる。さらに、デザインにはレオナルド・ダ・ヴィンチの未完の騎馬モニュメントの草案からの影響も見られる。
廃棄物で覆われた馬というデザインだけでなく、社会と環境の幸福を象徴するものとして、市民に強い印象を与えている。また、使用済みプラスチックをリサイクルして作られているというところ、その素材自体にも象徴性が込められている。
WASP社によれば、このモニュメントは「人々が生み出した廃棄物と汚染の負担を担い、その中に理想的に浸りながら完全にそれで覆われている」とのことだ。また、「同時に、錬金術のような操作を通じて、その廃棄物を貴重な素材へと変え、循環経済の実践に似たプロセスを実現している」とも述べている。
大規模3Dプリント技術の活用
製作にあたり、R3direct社はWASP社の3MT HDPペレット3Dプリンターを2台使用した。これらのプリンターは、最大1,000×1,000mmの印刷ボリュームを持ち、さまざまなサイズのペレットを処理できる能力がある。使用されたペレットは、地元のリサイクル企業Revet社が廃棄物から製造したものである。
製作過程では、馬の大きなサイズを考慮し、複数のセクションに分けて3Dプリントが行われた。これらのセクションは、軽量の金属フレームに組み立てられ、安定性を確保、モニュメントはフィレンツェのパルコ・サン・サルヴィで恒久的な展示が予定されている。
都市廃棄物をアートに変える試み
今回のプロジェクトは、廃棄物を再利用して新たな価値を創出する「循環経済」の理念に基づいた試みである。都市の廃棄物を素材に使用した3Dプリント技術を活用することで、環境保全のメッセージを強調し、アートとしての美しさと意味を持たせたこの作品は、今後の公共アートの新たな可能性を示している。
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