金属3Dプリンターで精度の高いIoT暑さ指数計を製作 ― 埼玉県
埼玉県の夏の厳しさから熱中症を予防するために、環境科学国際センターと県立大宮工業高等学校が「インターネットにつながる暑さ指数計(IoT暑さ指数計)」を県内24地点に設置した。黒球温度計の一部部品は、金属3Dプリンターを使用して改良された。 2023年7月11日から9月中旬まで、埼玉県気候変動適応センターのウェブサイト「SAI-PLAT」の暑さ指数情報発信ページでリアルタイムの暑さ指数を確認できる。画像はリアルタイムの暑さ指数の表示例(出典:埼玉県気候変動適応センター)
IoT暑さ指数計の開発
環境科学国際センターは、低価格で既製品と同程度の精度を持つ、インターネットにつながる暑さ指数計(IoT暑さ指数計)を開発した。温湿度計と黒球温度計の値から暑さ指数を自動で計算し、インターネットを経由してリアルタイムに情報提供ができる。
暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標。単位は℃だが、気温と必ずしも等しいものではなく、以下の計算式で算出される。
WBGT[℃]=0.7×湿球温度[℃]+0.2×黒球温度[℃]+0.1×気温[℃]
暑さ指数が28℃以上の場合は、日常生活におけるすべての生活活動において熱中症の危険性が高まるため、冷房の利用や外出を控えるなどの予防対策が必要となる。
IoT暑さ指数計を金属3Dプリンターで改良
国の「マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)」に指定されている大宮工業高等学校では、環境科学国際センターの研究員が講師となり、「地球温暖化の問題の解決に向けた課題研究授業」を実施。IoT暑さ指数計の製作と、そのデータの解析が行われた。
昨年度のデータ解析授業で、強風時の黒球温度計の観測精度に課題があることが明らかになり、今年度からは同校が所有する金属3Dプリンターを使用して、黒球温度計の部品をピンポン球から金属球に改良した。従来のものより精度の高いIoT暑さ指数計の製作に成功したという。
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