Snapmaker、新型カラー3Dプリンター「U1」でクラウドファンディング記録更新

2025年9月2日
Snapmakerのキックスターターより。

デスクトップ型3Dプリンターのリーディング企業であるSnapmaker(中国・深圳)は、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」にて新製品「Snapmaker U1 Color 3D Printer」のプロジェクトを立ち上げ、8月時点で1,919,762,113円(約19億円)を調達した。これは同社史上最大規模の資金調達であり、デスクトップ3Dプリンター分野においても異例の記録的成功となった。(上部画像は「Snapmaker U1 Color 3D Printer」のKickstarterプロジェクトより。出典:Snapmaker)

5倍の高速造形と5倍の廃材削減を実現

Snapmaker U1は、「5X More Speed, 5X Less Waste」を掲げ、従来機種に比べ大幅な性能向上を果たしたモデルである。最新の押出機構と独自のカラー混合技術を搭載し、従来比5倍の高速造形を実現すると同時に、サポート材などの廃棄物を5分の1に削減可能とする。さらに、同社が培ってきたモジュール型設計を進化させ、プリント速度・精度・素材対応力のバランスを大幅に高めたことが特徴である。

近年、世界の3Dプリンター市場は産業用途を中心に拡大しているが、Snapmakerは家庭や教育現場、クリエイター層を含む「デスクトップ製造」の需要を強く意識してきた。今回のU1は、プロフェッショナル用途にも耐える性能を備えつつ、デザイン性と操作性を重視し、幅広いユーザーに訴求している。

Kickstarterでの成功要因

SnapmakerはこれまでにもKickstarterを活用し、初代「Snapmaker 3-in-1」や「Snapmaker 2.0」で大規模な資金調達に成功してきた。特に「Snapmaker 2.0」は、当時3Dプリンター分野で世界最大級のクラウドファンディング記録を打ち立てた実績がある。今回のU1においても、既存ユーザーからの信頼と、カラープリントという新規性が相乗効果を生み、開始直後から支援額が急増した。

また、持続可能性への関心の高まりも後押ししたとみられる。造形時の廃材削減は環境負荷を抑制するだけでなく、材料コストの低減にも直結する。教育機関や中小のデザインスタジオなど、コスト効率を重視する利用者にとって大きな魅力となった。

今後の展望

今回のクラウドファンディングで得た巨額資金により、Snapmakerは生産体制の拡充やソフトウェア開発、サプライチェーン強化を加速させるとみられる。Kickstarterでの成功は単なる資金調達にとどまらず、グローバル市場におけるブランド価値を一段と高めることにつながった。

3Dプリンター業界は現在、大型化・高速化を目指す産業用と、使いやすさ・表現力を追求するデスクトップ用とで進化が二極化している。Snapmaker U1の躍進は、その中で「環境性能」と「クリエイティブ性」を兼ね備えた新たな方向性を示すものとなった。今後は実機の出荷が開始されることで、実際のユーザー評価が広がり、教育・デザイン・小規模製造の分野に大きなインパクトを与えることが期待される。

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