1. HOME
  2. 業界ニュースTOP
  3. 日本3Dプリンティング産業技術協会「第1回AMビジネス交流会」参加報告

日本3Dプリンティング産業技術協会「第1回AMビジネス交流会」参加報告

2024年8月22日(木)に、一般社団法人 日本3Dプリンティング産業技術協会「第1回AMビジネス交流会」が開催され、シェアラボから丸岡が参加した。テーマは「AM×イノベーション」で、講演と名刺交換会が催され、新しい交流の場として今後の発展が期待できるイベントであった。(記事内画像提供: 日本3Dプリンティング産業技術協会)

日本3Dプリンティング産業技術協会と「AMビジネス交流会」とは

一般社団法人 日本3Dプリンティング産業技術協会(J3DPA)は、「製造業を主たる対象として、3Dプリンティング分野の利用技術の向上及び人材育成をはかり、製造業を中心にした企業の製造部門とともに、中小企業等の製造業及び、関連産業の健全な発展と文化の向上に寄与することを目指しています。特に、利用者の視点からみた3Dプリンティング技術全体を視野に入れた取り組みを進めていきます。」を設立目的とし、3Dプリンティング、技術/ビジネスに関する調査・研究・標準化、3Dプリンティング技術/ビジネスに関する教育講座・資格認定、協会会員のためのコンサルティング等の力スタマー支援などを提供している。シェアラボでも2022年の下記取材記事でその活動を紹介している。

同協会では「特定のテーマに沿って、会員同士でテーマの内容を掘り下げ、一定の成果を導きだす」を目指した3つの研究会があり、そのひとつがAMビジネス研究会である。これまでは会員限定参加だったが、今回初めて会員以外も参加できる対面イベントとして「AMビジネス交流会」を開催した。今後も継続開催するとのことであった。

交流会の内容概要と要点

交流会は協会会員である長瀬産業株式会社のご厚意により、ナガセグローバル人材開発センター(東京)の会議室で開催された。主なプログラムは以下の通り。

開会   主催者挨拶 協会活動紹介 AMビジネス交流会について
招待講演「イノベーションを起こす組織の作り方」
一般社団法人 Japan Innovation Network(JIN)
マーケティング・営業グループ CRMディレクター 西野 昭夫 様
第二部 AMビジネス交流会 AM市場概論 AM市場×イノベーション
質疑・参加者ディスカッション ネットワーキング(名刺交換会)
第三部懇親会 (参加希望者のみ)
多くの方が参加された会場内(提供: 日本3Dプリンティング産業技術協会 )

要点として、主催者挨拶の中で同協会 代表理事 三森 幸治 氏から、「最近特に人と交流の大切さを再認識している。実際に人が集まることで交換される生の情報が大事で、そのような場を提供していきたい」とのことであった。

同協会 常務理事 松岡 司 氏からは、協会の活動概要や今後のイベントの予定(詳細は協会ホームページにて)のご紹介と、本AM交流会の狙いとして「AMビジネス面からAM・3Dプリンターについて考察することにより、AMビジネス興隆のヒントを得る。参加者同士の交流も目的とする。」とのことで、これまでは協会会員限定の会合だったが、今回からは会員以外も参加できるようにし、次回は12月開催予定との説明があった。

招待講演では、イノベーションの基本や、日本の世界競争力ランキングが38位に低迷し、技術はあるのに勝てないことの対策として、「イノベーションを中核に置く企業」への組織の意識改革について述べられた。またイノベーションは継続的に行うべきで、それにはイノベーションマネジメントシステム(IMS)が必要とし、国際工業規格として既に制定されているISO56000シリーズ、および来月発行予定の認証規格ISO56001の概要説明があった。記者も初めて知った規格だったが、今後ISO9000シリーズやISO14000シリーズ同様、まず組織としてイノベーションのPDCAを組織全体で継続して回し、段階的に成果を上げていく良い仕組みであるだけでなく、特に今後海外の企業との取引や、入札案件にも認証取得は有利になる可能性もあり、製造企業の経営層の方には知っていただきたい情報であった。講演後の記者からの質問として、「特に日本の製造企業は多くの複雑な企業によるエンジニアリングとサプライのチェーンと相互連携が強く、このIMSを個社単位で導入、運用しようとしても難しく、欧州主導の規格のままではなく、日本ではチェーンを基にしたアレンジが必要になるのでは?」に対し、「元々この規格には他社と連携運用することも含んでいて、むしろ考え方や用語が共通化され、連携運用もしやすくなる」との回答を頂いた。

AM市場概論では同協会理事でもある長瀬産業株式会社 周防 武 氏から、世界と日本のAM市場の統計では国内AMはまだ非常に小規模で、アーリーアダプターにしか使われていない現在地との認識が示された。

講演スライド資料(提供: 日本3Dプリンティング産業技術協会 )

そこで、AMビジネス交流会で議論する課題として、今後アーリーマジョリティへの普及の「谷」にあたる「キャズム」をどう乗り越えるかという点を提示され、参加者間で質疑や意見が交換された。

参加を終えて

記者は前職在職中からJ3DPAの方々との交流やイベント参加もしてきたが、まずは協会関係各位が継続的にAM知識共有、教育、研究に尽力されてきたことに敬意を示すとともに、今回の機会を頂いた感謝の意を表したい。また、これまではどうしても3Dプリンターや技術、活用についてのイベントが多かった中、AMビジネスをテーマにした交流は他でも増える傾向の中、本交流会にもこれまでと違う立場の方も参加され、今後も継続されることの意味は大きく、成果にも期待したい。関心のある、特にAMを使う立場の方々にも積極的な参加をお勧めしたい。

特別企画・取材の関連記事

今回の記事に関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から2つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。

設計者からAMソフトウエア・装置販売ビジネスに20年以上携わった経験と人脈を基に、AMに関わるみなさんに役立つ情報とつながりをお届けしていきます。

資料ダウンロード 3Dプリンティング国内最新動向レポート

サイト内検索

関連記事