Nano DimensionがDesktop Metalの買収を完了

デジタル製造分野で先進的な技術を展開するNano Dimension Ltd.(イスラエル・ネスジオナ、以下、Nano Dimension)は本日、Desktop Metal, Inc.(アメリカ合衆国マサチューセッツ州、以下、Desktop Metal)の買収完了を発表した。本取引により、高付加価値・高性能な電子機器、機械、医療用途向けの革新的かつ破壊的なシステム、ソフトウェア、材料を提供するグローバル企業が誕生する。買収額は1億7930万ドル(約260億円)[1株当たり5.295ドル(約770円)]で、すべての規制当局からの承認および慣例的な完了条件を満たした上で、正式に締結された。(上部画像はNano Dimensionのプレスリリースより。出典:Nano Dimension)
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合併契約巡る訴訟でDesktop Metalが勝訴、Nanoに特定履行命令
以前、Desktop Metalは2024年7月に締結したNano Dimensionとの合併契約をめぐる訴訟で、デラウェア州衡平法裁判所から有利な判決を得たと発表していた。判決では、Nano Dimensionの重大な契約違反が認定され、裁判所はDesktop Metalの請求に基づき、Nano Dimension側に対して特定履行を命じた。これにより、国家安全保障に関する条件が48時間以内に満たされれば、合併が完了する見通しとなり、また、合併期限もDesktop Metalの裁量で延長可能とされ、同社は統合に向けて準備を進めていたという。
統合後の新会社について
2024年12月31日を期末とする2024年度の暫定かつ未監査の業績によれば、統合後の新会社は年間売上高2億ドル(約293億円)を超える見通しである。統合された企業体は、先進的な製造ソリューションを設計・提供するグローバルな事業体となる。これには、資本設備、材料、ソフトウェアを含み、洗練された電子機器、機械、医療用途に向けた設計から製造までの一貫したサービスが含まれる。顧客基盤も多様化し、フォーチュン500企業をはじめ、航空宇宙・防衛、自動車、消費財、電子機器、産業オートメーション、医療技術の業界リーダーに加え、研究開発機関、大学、政府機関などが含まれる。
新たな経営陣による戦略的な財務改革の実行
今回の買収は、2024年7月の合併契約締結時とは異なる新たな取締役会および経営陣の指導の下で行われた。この刷新された経営陣は、統合企業の現実に対応し、持続可能なビジネスモデルの確立に専念している。
Nano Dimensionの経営陣は、株主への大きなリターンの創出、業界のトップ人材の獲得、そしてグローバル顧客にとって信頼できるイノベーションパートナーとなることにコミットしている。
新経営陣の下で進むNano Dimensionの全社的変革と最適化計画
2024年12月に新経営陣が就任して以降、Nano Dimensionは戦略的見直しを進めており、コア事業における費用削減を含む事業モデルの改善を実施してきた。これらの初期成果を基に、経営陣は統合後の全社においてこれらの最適化施策をさらに拡大・加速させていく方針である。
新経営陣による加速された変革計画の中心は、以下の点である:
- 財務基盤の維持:堅固な資本基盤を確保する。
- 利益ある成長の推進:革新的技術を持ち、成長が見込まれ、財務的成果をもたらす製品・サービスに注力する。
- 利益率の向上:製造、業務、サプライチェーン、情報システムの経済的効率性を高める。
- 顧客との不可欠なパートナーシップの構築:Nano Dimensionを製造分野で欠かせないパートナーとするようなソリューションを提供する。
Nano Dimensionについて
Nano Dimensionは、イスラエルに本拠を置くハイテク企業で、主にエレクトロニクス分野における3Dプリント技術を開発・提供している。特に、プリント基板(PCB)やハイパフォーマンスな電子部品の積層造形技術に強みを持つ。インクジェット技術とナノインク材料を組み合わせた独自技術により、迅速かつ精密な電子機器製造を可能にする。産業用途として、防衛、航空宇宙、自動車など幅広い分野での活用が進んでいる。
Desktop Metalについて
Desktop Metalは、オンデマンドでのデジタル大量生産という新時代「Additive Manufacturing 2.0」の推進役である。同社の革新的な3Dプリンター、材料、ソフトウェアは、スピード、コスト、部品品質の点で製造の変革を可能にする。同社はバインダージェッティング方式およびデジタルライトプロセッシング方式における発明者かつ世界的リーダーを擁し、これらの技術により金属、ポリマー、砂、その他のセラミックス、フォーム、再生木材などの多様な材料を造形する。世界中の製造業がDesktop Metalの技術を利用することで、時間とコストを削減し、廃棄物を低減し、柔軟性を向上させ、革新的な設計を実現している。
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