Nano Dimension、Markforgedの買収を完了!金属・複合材料製造分野での地位を強化

2025年5月15日
Nano Dimensionのプレスリリースより。

デジタル製造ソリューションの先進企業であるNano Dimension Ltd.(イスラエル・ネスジオナ、以下、Nano Dimension)は、2025年4月25日、Markforged Holding Corporation(アメリカ合衆国・マサチューセッツ州、以下、Markforged)の買収が完了したことを発表した。取引総額は1億1600万ドル(約169億円)であり、関係当局の承認およびその他のクロージング条件がすべて満たされたことで、正式に完了した。(上部画像はNano Dimensionのプレスリリースより。出典:Nano Dimension)

金属・複合材料分野での競争力を強化する戦略的買収

この買収により、Nano Dimensionは金属および複合材料の製造領域における競争力を大幅に高めたとされる。Markforgedは、ハードウェア、クラウドベースのAI活用ソフトウェア、材料科学を統合したソリューションを展開しており、世界中の製造現場で広く活用されてきた。すでに15,000台以上のシステムが導入されており、同社の実績がNano Dimensionの製品ポートフォリオの強化につながると見られる。

AI活用による製造業革新への期待、戦略的ビジョンの要に

Nano DimensionのCEOであるOfir Baharav氏は、「Markforgedの買収完了は、当社の戦略的ビジョンにおける重要な節目である」とコメントしている。Markforgedの提供するソリューションは、製造業における部品の精密かつ一貫した再現という課題に対し、AI技術を用いて応えてきた。

2024年には、Markforgedが8500万ドル(約124億円)以上の収益を上げ、非GAAPベースでの粗利益率は約50%と報告されている。これにより、買収後も利益を維持しつつ、さらに効率性と収益性の向上が図られる見込みである。

多様な産業ニーズに応える技術と経営体制の強化

Markforgedの顧客層には、航空宇宙、防衛、自動車、医療、産業機器、政府機関などが含まれ、製造現場での即時性やリショアリング、サプライチェーンの回復力強化、IP保護、持続可能性確保といった観点から、同社の技術が不可欠となっている。

加えて、Nano Dimensionは2025年3月より自社の中核事業と最近の買収案件に対する包括的な戦略見直しを進めており、今回の買収はその一環とされる。この戦略は、強固な財務基盤の維持、技術革新を原動力とする収益性重視の成長、製造・運用・ITの効率化、そして顧客との強固な関係構築を軸としている。

なお、MarkforgedでCFOを務めていたAssaf Zipori氏が、2025年4月24日付でNano Dimensionの新たなCFOに就任したことも併せて発表された。

Nano Dimensionについて

Nano Dimensionは、オンショアリング(国内回帰)、国家安全保障、製品のカスタマイズ需要の高まりといった強い市場トレンドに支えられ、防衛、航空宇宙、自動車、エレクトロニクス、医療機器分野に対し、先進的なデジタル製造技術を提供している。これにより、知的財産の保護と持続可能な製造を両立しつつ、多品種・少量生産を迅速に展開することが可能となる。

Markforgedについて

Markforgedは、金属および複合材料の3Dプリンティングにおける先進的企業であり、ハードウェア、材料科学、クラウドベースのAI活用ソフトウェアを統合したエンドツーエンドの製造プラットフォームを提供している。同社のソリューションは、航空宇宙、防衛、自動車、産業機器、医療分野などにおいて、迅速な試作から実用部品の生産まで対応しており、世界中で15,000台を超えるシステムが導入されている。高い信頼性と再現性を備えたMarkforgedの技術は、サプライチェーンの強靭化、製造拠点の分散化、知的財産の保護を実現し、持続可能なモノづくりに貢献している。

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