スペインの金属3DプリンターメーカーMeltio社が4つの新しい金属素材を発売
スペインの金属3Dプリンターメーカー「Meltio社」が、4つの新しい金属素材の販売を開始したことが、神奈川県横浜市に本社を構えMeltio社の日本総代理店を務める3D Printing Corporation社の発表で分かった。
3D Printing Corporation社はMeltio社と共に、新たな材料を通じて、ユーザーの用途が広がることで、日本のものづくり産業がさらに発展することを目指す。4つの金属素材は既に3D Printing Corporation社が運営しているオンラインストアで販売されている。(画像はMeltio社が発売した4つの新しい3Dプリンター用金属素材 出典:3D Printing Corporation社)
4つの素材の特徴
販売が開始された金属素材はステンレス鋼17-4PH、工具鋼H11、インバー、ニッケル625の4種だ。素材はすべてワイヤー状で販売される。
ステンレス鋼17-4PHは、ステンレスの中でも高い硬度を持ち、優れた耐食性と機械的特性を備えており、石油・ガス、エネルギー、防衛産業などでも広く採用されている。
工具鋼H11は、クロムベースの合金鋼で、優れた強度を持ち最も一般的に使用される工具鋼の一つ。材料の切削や加工を行なう工具や治具に用いられる熱間工具、金型製造の素材として多く使用されている。
インバーは、鉄にニッケルなどを加えた合金だ。-250℃から約200℃までの熱膨張率が非常に小さいことから、計測機器や極低温用途の複合部品製造のための金型などに適している。
これら3つの素材は、上述した用途以外にも、航空宇宙分野での活用に適しているとされる。
4つ目のニッケル625は、ニッケルベースの超合金で、幅広い温度範囲で優れた機械的特性を発揮する。
高度な耐熱性が必要とされる部位に用いられる超合金の中でも溶接性に優れているため、レーザークラッディングと呼ばれる、レーザーで瞬時に溶かしながら金属粉を吹きかけて行う肉盛り作業に適している。この性質により、高温下で使用される部品の補修作業や耐食性を高める作業への活用が期待できる。
Meltio社の代表取締役CEOのÁngel Llavero氏は、今回の新素材販売について以下のように述べている。
「私たちの計画は、ユーザーの要求に応じて選択の幅を広げる一方で、限界を押し広げ、さまざまな材料を試してみたい人のために、オープンな材料プラットフォームを維持することです。」
Meltio社の3Dプリンターについて
Meltio社の3Dプリンターは、金属ワイヤーをプリント素材として利用する。ワイヤーは粉末状の素材と比べて安価で、かつ造形時の材料ロスが発生せずにコスト効率が高い。
Meltio社の3Dプリンターの造形方式はLMD(レーザーメタルデポジジョン)方式と呼ばれるもので、材料粉末とレーザーを同時に照射し任意の部分を溶融させ、積層させて造形する。異なる金属材料の積層や、既存製品の補修や再製作と相性が良い。
4つの金属は3D Printing Corporationが運営しているオンラインストアで販売している。
ShareLabNEWSではこれまで、3Dプリンター用金属素材についてさまざまな方面で取り上げている。以下のリンクにまとめてあるので、そちらもぜひ参照してほしい。
https://news.sharelab.jp/category/3dp-news/metal-materials/
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