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特殊な充填剤をボルトに詰めて消音・防振効果!デザインパーツ株式会社

試作や量産化に取り組む方々にも役立ちそうな技術だと思うので、 高精度難加工技術展2019で偶然出会った面白い取り組みを紹介したい。デザインパーツ株式会社は非常に独創的な取り組みとして、ボルトの内部を空洞にし特殊な樹脂を充填することで、防振性能、防音性能を付加するというユニークな取り組みをおこなっている。営業課の加藤薫氏にお話を伺った。

簡単に言うと、どんな技術ですが?

ボルトの内部に穴をあけます。そこに特殊な樹脂を詰めます。するとボルト内の樹脂が音を吸収しボルトの音が非常に抑えられるのです。材料と材料をつなぐボルトが音を抑えることで、軋み音などがおさえられる効果があります。弊社はこれで特許を出願中ですが、太く大きなボルトほど効果が見込めます。同時に内部の軽量化にもつながりますので、いろいろな活用用途があるのではないかと思います。(加藤氏)」

ボルトの内部をわかりやすく見せるサンプル
ボルトの内部をわかりやすく見せるサンプル

実際やってみると、普通のボルトを鉄の棒でたたくとキーンという金属音がするが、加工後のボルトはゴン、ドン、というような低音になる。実際の動画をご紹介しよう。

ボルトの強度はどうなりますか?

「もちろん穴をあけるわけですから、強度は落ちます。そこを熱処理などで補っていく事で利用できる水準にしていく想定です。性能要件によってはボルト本数を増やす等の設計変更が必要になるかもしれません。(加藤氏)」

どのようなアプリケーションを想定していますか?

「ボルト本数が多く、太いほうが効果が見込めますが、逆にボルトがビス並みに小さくなった時に、どの程度効果がでるかはまだ未知数です。いろいろな活用用途をメーカーさまと共同で探っていきたいと考えています。(加藤氏)」

例えばエンジンのハウジングなど、音が発生しやすい動力部の接合時に使う、保持フレームなどの接合に使うなどすることで、音や振動を抑えることができるかもしれない。 また同じような防音、振動を抑えるというと、自動車以外にも、住宅、設備などが思い浮かぶ。いずれも設計上の強度に関してはシビアに見るべきプロダクトなので、導入時には強度計算等は必要かもしれない。

振動抑制ボルト、すごい技術かもしれない

活用用途を明確にして、検討していく事で、こうした性能を向上させる特殊な加工や技術が自分の仕事にどのように取り込めるか考えるきっかけになる。 潜水艦、飛行機、高級車、タクシー、自転車、ベッドの金具・・、いろいろなアプリケーションが考えられ、組み込み次第で大きな可能性を秘めたパーツと言えるだろう。

この振動抑制ボルトは特許出願中という事で、デザインパーツ社との相談が必要だが、例えば3Dプリンターで補修パーツを造形する際に、内部が空洞のビス、ねじ、ボルトを造形し、その後内部に樹脂を充填すれば防音性の向上に貢献できる部品になる可能性もある。充填素材の組成によっても性能は変わるだろうし、取り組み甲斐があるテーマだ。こうした新しい発想を柔軟に試していくことができるのも3Dプリンターでのモノづくりならではの取り組みだと思う。気なる方はデザインパーツ社に話を聞いてみてもよいだろう。

関連情報

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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