Parivas、3Dプリント一体構造の高級腕時計「Exo.1」を発表 積層造形をブランドの中核に据えた新時計ブランドが誕生

出典:Parivas
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米国ロサンゼルスを拠点とする新興時計ブランドParivasは、3Dプリント技術を活用した高級腕時計「Exo.1」を発表した。同社は積層造形を単なる製造手法としてではなく、ブランドのアイデンティティそのものとして位置付けており、「アディティブ・ウォッチデザイン」という新たなカテゴリーの確立を目指している。

ブランド名の「Parivas」は、ラテン語の「Pario e Pulvis(塵から生み出される)」に由来しており、粉末材料から製品を作り上げる積層造形技術へのこだわりを表現している。

ステンレス製ケースを3Dプリントで一体成形

Exo.1最大の特徴は、パウダーベッド方式によって造形されたステンレス鋼製ケースである。

一般的な腕時計では、ベゼルやケース本体、ラグ、文字盤周辺の構造が複数部品で構成されることが多い。一方、Exo.1ではこれらを単一構造として製造することで、接合部や継ぎ目を排除した一体型デザインを実現した。

同社によれば、この構造によって組立誤差や外観上の不均一性を抑えながら、従来の製造方法では難しい複雑な造形を可能にしているという。

また、外骨格(Exoskeleton)を思わせる独特なデザインから、「Exo.1」という名称が付けられた。

独自仕上げ「Solar Dusted™」を採用

造形後のケースには、Parivas独自の焼結プロセスによる「Solar Dusted™」仕上げが施される。

この加工により、表面には波状や隆起状の独特なテクスチャが形成される。光の当たり方によって異なる表情を見せるだけでなく、一つひとつ異なる模様となるため、同じ外観の時計は存在しないとしている。

3Dプリントによる自由な造形性と、個体ごとに異なる表面表現を組み合わせることで、工業製品でありながら一点物に近い価値を提供する狙いがある。

機械工学とAM分野の経験を持つ創業者

Parivasは、CEOのミッキー・ブラウン氏とCOOのジャスティン・チャン氏によって設立された。

両氏は機械工学およびアディティブ・マニュファクチャリング分野で合計30年以上の経験を持つ。

ブラウン氏はExo.1の開発について、

「Exo.1は技術に合わせて設計されたのではない。このデザインを実現するために技術の側が進化しなければならなかった」

とコメントしている。

同社は数年にわたり設計と製造技術の検討を重ね、今回の製品化に至った。

スイス製自動巻きムーブメントを搭載

Exo.1には、Sellita SW300-1SAをベースとしたカスタムムーブメント「Parivas Caliber P1001S」を搭載する。

主な仕様は以下の通り。

  • 自動巻きスケルトンムーブメント
  • パワーリザーブ56時間
  • 25石
  • ロジウムメッキ仕上げ
  • ソレイユ装飾

また、同モデルはParivas独自の精度認証制度「Parivas Chronometer」に準拠している。この認証は、ニューヨーク時計学会(Horological Society of New York)との協力により開発され、国際規格ISO 3159を上回る精度基準を目指しているという。

最終組立はロサンゼルスで実施される。

出典:Parivas
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初回生産は30本限定

Exo.1の価格は7,500ドル(1ドル145円換算で約108万7,500円)。

初回生産分は30本限定となり、現在ウェイティングリスト登録を受け付けている。納品開始は2027年第1四半期を予定している。

近年、時計業界では一部ブランドが3Dプリント技術をケースや部品製造に活用しているが、Parivasのように積層造形そのものをブランドの中心に据える事例は珍しい。Exo.1は、高級時計市場におけるアディティブ・マニュファクチャリングの新たな可能性を示す事例として注目されそうだ。

編集部コメント

3Dプリンティング技術は航空宇宙や医療、自動車分野で活用が進んでいるが、高級腕時計市場への本格展開はまだ限定的である。Parivasは「3Dプリントを使った時計」ではなく、「3Dプリントだから実現できる時計」を目指している点が興味深い。

特にケース全体を一体造形する設計思想は、従来の時計製造とは異なるアプローチであり、積層造形ならではの価値提案といえる。今後、少量生産の高付加価値製品市場において、同様の取り組みが広がる可能性がある。

用語解説

■ パウダーベッド方式(Powder Bed Fusion)
金属や樹脂の粉末材料にレーザーや電子ビームを照射し、層ごとに溶融・固化させながら造形する3Dプリント技術。高精度な金属部品の製造に広く利用されている。
■ Sellita SW300-1SA
スイスのムーブメントメーカーSellita社が製造する高級機械式時計向け自動巻きムーブメント。多くの時計ブランドで採用されている実績あるキャリバー。
■ ISO 3159
機械式クロノメーターの精度試験に関する国際規格。複数の姿勢や温度条件下で時計の精度を測定し、一定基準を満たした製品のみが認証を受けられる。

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