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EOSが新しいエンド・ツー・エンドの生産ネットワークを開始、その背景とメリットは?

ドイツのミュンヘンに本拠地を置く3Dプリンターメーカー大手のEOS社は、3Dプリンターのサポートを求める企業と、EOS社の認定パートナーを結ぶ新しいエンド・ツー・エンドの生産ネットワークの開始を発表した。これにより、サプライヤーと顧客の関係性の密度が上がり、従来以上に、要望に応じた3Dプリンティング製品の作成が可能になる。

この試みは、EOS社の既存の受託製造ネットワークを拡張し、エンド・ツー・エンド生産を提供するもので、スカンジナビア最大の3Dプリンティング企業であるPrototal社が、このネットワークに参加する最初の認定受託製造業者として発表された。

EOS社の3Dプリンターで埋め尽くされた製造施設
EOS社の3Dプリンターで埋め尽くされた製造施設(出典:EOS社)

EOS社のエンド・ツー・エンド生産ネットワーク拡充の背景

3Dプリンター業界ではエンド・ツー・エンドの生産ネットワークの導入は、2022年の業界トレンドの1つとも言われ、今後、3Dプリンター事業の拡大を目指す企業にとってますます重要になると考えられている。

EOS社の新しいパートナーネットワークは、スタートアップ企業、中堅企業、OEM(他社ブランドの製品を製造する企業)を、EOS社がパートナーとして認定し、メーカーと結びつけ、3Dプリントパーツを迅速かつ大量に市場に提供することを目的にした試みだ。

新たな製造方法の発見やパーツ生産の編成方法などのハードルを取り除きながら、3Dプリンター製品を作成したい企業が大規模に製品生産を実現できるためのパートナーを見つけることを目指している。

その実現のために同社は、部品設計、DfAM(既存製品に付加価値をつけるための設計)、製造、後工程、品質保証、組立までのサービスを提供するエンド・ツー・エンドの製造受託ネットワークを拡充した。

EOS社の副社長であるMarkus Glasser氏は「エンド・ツー・エンドの生産ネットワークの導入により、最も革新的な製品設計を持つ連続生産ビジネスにおいて、製造パートナーを選ぶ際の複雑さとリスクの多くを取り除くことができます。また、最新の3Dプリント技術を使って、より早く製品を市場に送り出すことができ、ネットワーク内の各業界の専門知識やノウハウの活用も可能です。」と述べた。

3Dプリンター大手メーカーだからこその提供メリット

EOS社は言わずと知れた3Dプリンターメーカー大手だ。

そのため、エンド・ツー・エンドの生産ネットワークのメンバーと仕事をすることを選択した顧客は、ネットワークパートナーの財務的な安全性と製造能力はもちろんのこと、航空宇宙、自動車、医療といった厳しい業界での認証を受けた経歴や専門知識を有している安心感が契約締結の決め手になっているとのこと。

また、同社のパートナーネットワークを通じて、企業の要件に合った最適なアプリケーションと技術の枠組みを特定し、内製と外製の利点と欠点について相談が可能だ。さまざまな製造技術や専門知識を持ち寄って、これらの企業が生産を拡大するのを支援し、同時に品質基準を満たし、製造プロセスの各段階でサポートを提供される。

EOS社の生産ネットワークのパートナーになるためには

ただし、誰もがパートナーになれるわけではない。

EOS社の生産ネットワークのパートナーになるには、同じ製品を一定期間連続して生産し続ける重要性を深く理解し、各生産工程において優れた実績を持っている必要がある。基本的に、ネットワーク・パートナーは、生産パートナーを求めている企業が、幅広い産業分野で産業規模の連続3Dプリントを実現するためのサポート役となる。

3Dプリンティング製品製造企業「Sintavia社」にあるEOS製3Dプリンター
3Dプリンティング製品製造企業「Sintavia社」にあるEOS製3Dプリンター(出典:EOS社)

最初の認定パートナー「Prototal社」について

EOS社の生産ネットワークに参加する最初の認定パートナーは、産業用3Dプリント、真空注型、射出成形において北欧最大のサプライヤーと言われるPrototal社だ。Prototal社は20年以上にわたるEOS社の顧客でもある。Prototal社は、50台以上のEOS社製3Dプリンターを備え、大規模な連続生産のための3Dプリント能力を提供している。

EOS社の生産パートナーネットワークは、まずヨーロッパ、中東、アフリカ地域で設立され、今後数ヶ月のうちにさらに拡大する予定だ。

3Dプリントの世界は大きな進歩を遂げ、最終製品として市場に出るような精度のものも世に出ている。これまでは企業同士の技術力の競争だった3Dプリントは、今後ビジネスとしてのかたちを変えていくのかもしれない。

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