ストラタシス・ジャパンは2026年7月31日、PolyJet方式を採用した新型3Dプリンタ「J850 Core」の国内販売を開始した。高精細な造形とマルチマテリアル性能を備えながら、フルカラー機能を必要としないエンジニアリングチームや試作部門を想定し、機能性試作に必要な性能へ構成を絞ったモデルである。外観確認だけでなく、スナップフィットやヒンジなどの機能評価にも対応する。
目次
外観評価と機能評価を1台で、PolyJetの新モデル「J850 Core」
J850 Coreは、ストラタシスのインクジェット方式「PolyJet」を採用した3Dプリンタである。
PolyJetは、液状のフォトポリマーを微細な液滴として噴射し、紫外線で硬化させながら積層する方式だ。滑らかな表面や細部の再現に加え、複数材料を組み合わせた造形が可能という特徴を持つ。
今回発売されたJ850 Coreでは、こうしたPolyJetの高精細な造形品質とマルチマテリアル性能を継承しながら、製品開発における機能性試作へ重点を置いた。
対応材料には、高靭性材料「ToughONE」のほか、「Agilus」「VeroUltra」などが含まれる。デザインレビューや外観評価に加え、スナップフィットやヒンジなど、実際の製品を想定した機能評価にも利用できる。
特にJ850 Coreの位置付けを理解するうえでポイントとなるのが、フルカラー機能を必要としないエンジニアリングチームや試作部門を対象としていることだ。機能性試作に必要な性能に特化した構成とすることで、PolyJet技術をより導入しやすい価格帯で提供する。

最大3材料を同時造形、硬質・軟質・透明材料の組み合わせにも対応
J850 Coreでは、最大3種類の材料を同時に使用できる。
例えば、剛性材料とゴムライク材料を組み合わせた部品や、透明部材を含む試作品などを1回の造形で製作可能だ。異なる物性を持つ材料を組み合わせることで、実製品に近い構成を持つ試作品を製作できる。
製品開発では、形状だけを確認するモックアップから、組み付けや操作感などを確認する試作品まで、目的に応じて複数の試作が必要になる。J850 Coreでは、外観確認に加えて材料特性を組み合わせた機能検証までを1台でカバーすることで、設計検証工程の効率化を支援する。
主な用途としては、スナップフィットやヒンジを使用した機能評価、硬質材と軟質材を組み合わせた部品の試作、透明部材を含む外観検証、組付け・アセンブリ検証、工業製品のデザインレビューなどが想定されている。
490×390×200mmの大型ビルドトレイ、高速造形モードも搭載
最大造形サイズは490×390×200mm。比較的大型の部品を造形できるほか、複数部品をビルドトレイ上へ配置して一括造形することも可能である。
用途に応じて高品質モードと高速モードを使い分けることができ、大型ビルドトレイと高速造形を組み合わせることで、試作サイクルの短縮と生産性向上を図る。
ソフトウェアは「GrabCAD Print Pro」に対応。自動ネスティング、レイアウト最適化、ジョブプリセットなどの機能によって、造形前の準備作業を効率化する。後処理についても最小限に抑え、オフィス環境への導入を想定したワークフローとしている。
J850 Coreの主な仕様は以下の通り。
・最大造形サイズ:490×390×200mm
・最大3材料の同時造形に対応
・ToughONE、Agilus、VeroUltraなどのPolyJet材料に対応
編集部コメント
PolyJetは、高精細な外観表現と異なる特性を持つ材料の組み合わせを得意とする一方、その性能をどこまで必要とするかはユーザーの用途によって異なる。J850 Coreで注目したいのは、フルカラー機能を必要としない開発現場を明確なターゲットとして、機能性試作へ軸足を置いた点である。
製造業の試作では、単に「形を見る」だけでなく、部品同士が正しく組み付くか、ヒンジやスナップフィットが機能するか、硬質部と軟質部を組み合わせた際にどのような挙動になるかといった確認も重要になる。J850 Coreは、PolyJetのマルチマテリアル性能をこうした設計検証へ活用するための選択肢といえるだろう。
用語解説
| PolyJet(ポリジェット) |
|---|
| ストラタシスが展開するインクジェット方式の3Dプリント技術。液状のフォトポリマーを微細な液滴として噴射し、紫外線で硬化させながら積層する。高精細な造形や滑らかな表面表現に加え、複数の材料を組み合わせたマルチマテリアル造形を可能としている。 |
| マルチマテリアル造形 |
|---|
| 1回の造形工程で複数種類の材料を使用する3Dプリント手法。硬質材料と軟質材料、透明材料など、異なる性質を持つ材料を組み合わせることで、単一材料では再現しにくい試作品や複合的な機能を持つモデルを製作できる。 |
| 機能性試作 |
|---|
| 製品の形状や外観だけでなく、組み付け、可動部、操作性など、実際の製品に求められる機能を確認するための試作。設計段階で問題を発見し、量産前の設計検証を行う目的などで利用される。 |
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