Stratasys、材料・ソフト・装置を横断した新展開 積層造形の実用領域を拡大

2026年4月21日
出典:Stratasys
出典:Stratasys

Stratasysは、ハードウェア・ソフトウェア・材料の各領域にまたがる新たな製品群を発表した。既存システムの用途拡張と使い勝手の向上を狙ったもので、航空宇宙や自動車、医療など幅広い分野での活用拡大を見据える。今回のアップデートは、単なる材料追加にとどまらず、造形精度の向上や生産効率の改善といった「現場課題」に直接アプローチする内容となっている点が特徴である。

高温・高精度用途に対応するULTEM材料を拡充

新たにF3300向けとしてULTEM 1010フィラメントが追加された。高温耐性に優れ、航空宇宙グレードの部品製造に対応する材料であり、FDM方式の中でも低い熱膨張係数を持つ。複合材ツーリング用途に適しており、過酷な環境下でも治具や工具の寸法精度を維持できる点が強みである。さらに、F3300の高速造形性能と材料乾燥機能の組み合わせにより、部品あたりコストの低減も期待できる。加えて、大型スプールでの提供も予定されており、Fortus FDC filament dryerと組み合わせることで長時間連続造形に対応。F900やFortus 450mc Gen IIIでも利用可能となる。

実用部品に踏み込む光硬化材料

Originプラットフォーム向けには、高温・高負荷環境に対応するP3 Deflect 110が追加された。自動車部品や治具など、従来は射出成形が前提だった用途への適用が進む。また、Loctite 3D IND3785 Low Migrationは、食品・医薬品分野の規制に対応した材料であり、小ロット生産における選択肢を広げる。PolyJet材料では、ToughONE WhiteおよびBlackが展開された。耐久性と柔軟性を両立し、試作品でありながら最終製品に近い挙動を再現できるため、設計検証の精度向上とスピードアップに寄与する。

歪み補正を自動化するソフトウェア

ソフトウェア面では、GrabCAD Print Proに「Measurement-Based WAM(歪み適応モデリング)」が追加された。この機能は実測データをもとに造形時の歪みを自動補正するもので、電気コネクタや精密治具など寸法精度が求められる部品の安定生産を可能にする。Origin DLP platformとP3技術と組み合わせることで、試作の繰り返し回数削減にもつながる。

SLA向け高精細材料も追加

SLA分野では、Somos WaterShed Whiteが新たに投入。耐湿性と滑らかな表面仕上げを備え、自動車や航空宇宙用途の高精細プロトタイプに適していて、Neo800+を含むNeoシリーズ全機種で使用可能である。

編集部コメント

今回の発表は、材料追加というより「量産適用への詰め」を進めた内容である。特にWAMによる歪み補正は、これまで熟練者の経験に依存していた領域に踏み込むものであり、再現性の確保という意味で重要である。また、ULTEM 1010の展開拡大やLoctite材料の投入からも分かる通り、Stratasysは明確に「試作から生産へ」の移行を加速させている。日本の製造業にとっても、治具・少量部品・規制対応部品といった領域での実装検討が現実的な段階に入ってきたと言える。

用語解説

■ ULTEM 1010
SABICが開発した高性能ポリマー材料。高い耐熱性と機械強度を持ち、航空宇宙分野などで使用される。FDM方式の3Dプリンタ向けフィラメントとしても提供されている。
■ PolyJet
液体フォトポリマーをインクジェットのように噴射し、紫外線で硬化させる3Dプリント方式。高精細で滑らかな表面仕上げが特徴で、試作品やデザインモデルに適している。
■ WAM(Warped Adaptive Modeling)
造形時に発生する歪みを事前に補正する技術。実測データをもとにモデルを補正することで、寸法精度を向上させる。
■ SLA(光造形)
液体樹脂をレーザーや光で硬化させて積層する方式。高精細な造形が可能で、試作品や精密モデルの製造に用いられる。

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