Stratasysは、大型FDM方式3Dプリンター「F770」向けの新製品「T25高速ヘッド」を活用し、スバルオブアメリカ社(以下、スバル)が自動車用金型開発を大幅に効率化した事例を発表した。スバルは導入によって金型開発期間を50%以上短縮し、試作および工具製作コストも大きく削減したとしている。
目次
スバルがT25高速ヘッドを早期導入

スバルのエンジニアリングチームは、アクセサリや取付工具の開発支援部門としてT25高速ヘッドをいち早く採用した。組立ラインの安定稼働に不可欠な工程において、造形速度だけでなく、一貫性や応答性の向上を狙った取り組みである。
導入の成果として、スバルは以下を達成したという。
- 標準ヘッド比で36インチツールの造形速度がほぼ2倍(1.96倍)に向上
- ツール開発時間を50%以上削減
- プロトタイピングおよび工具製作コスト全体を70%削減
F770プラットフォームへの生産集約と迅速対応
T25高速ヘッドの導入により、スバルはF770プラットフォームへの生産集約を進め、再現性と部品品質を向上させた。緊急で金型が求められる場面でも迅速に対応できる体制を整え、外部委託への依存度を低減している。
早期提供による開発課題の前倒し解決
スバルのプロジェクト・エンジニアリング・マネージャーであるMatt Daroff氏は、社内顧客へ部品を早期に提供できることで開発段階での問題発見が早まり、修正を前倒しできる点が重要だと述べている。不良品生産による時間と材料の無駄を抑える効果も期待される。
Stratasysが狙う大型工具の高速生産
Stratasysによれば、T25高速ヘッドは大型部品の造形速度を最大2.3倍まで高速化しながら部品品質を維持できる設計である。自動車用金型開発の加速、ターンアラウンドタイム短縮、試作から生産までの俊敏性向上を支援する。
金型製造の長いリードタイム課題に対応
従来の金型製造では、8〜12週間に及ぶ長いリードタイムや高コストなCNC加工、外部委託に伴うリスクが課題となりやすい。大型金型部品を社内で迅速に製造できれば、品質と管理を維持しながら業務効率を高められるとしている。
T25高速ヘッドは受注受付中
Stratasys産業部門最高責任者のRich Garrity氏は、部品品質を損なわず不要なコストもかけずに迅速対応できる能力が製造業に求められているとし、T25高速ヘッドが大型工具の短時間生産を支援すると述べている。なお、T25高速ヘッドは現在受注受付中である。
シェアラボ編集部コメント
大型FDM機は治具・工具・金型補助部品を社内で回す用途で存在感が増している。今回の事例は装置更新というよりも、プリントヘッドの高速化によって現場のリードタイムを直接削れる点がポイントである。金型製作の外注依存を減らし、変化への即応力を高める動きは日本の製造業でも参考になりそうだ。
用語解説
| ■ ターンアラウンドタイム(Turnaround Time) 発注や設計変更から、実際に部品・工具が完成して手元に戻るまでの所要時間のこと。短縮できれば、試作や金型開発のスピードが上がり、製造現場の対応力が向上する。 |
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