仏機関「Cetim」のノウハウを取り入れたAM共同開発プロジェクトが始動 ― 日本ミシュランタイヤ
日本ミシュランタイヤ株式会社(以下、日本ミシュランタイヤ社)と群馬積層造形プラットフォーム(GAM)は、2023年1月27日、GAMに加入したフランス国立産業技術センター、Technical Centre for Mechanical Industries(以下、Cetim)のノウハウを取り入れた共同開発プロジェクトの始動を発表した(画像は「ミシュラン-AMアトリエ」の内部/出典:日本ミシュランタイヤ社)。
群馬積層造形プラットフォーム(GAM)とは
GAMとは「群馬積層造形プラットフォーム」の略称で、積層造形の実用化を目指す会員が集まるサロンを指す。サロンから生まれた課題をもとに会員同士が共同開発を行い、共同開発によって得られた知見をサロンに還元する、というサイクルで運営されている。
GAMの設立は2021年7月で、日本ミシュランタイヤ社と群馬県の有志企業によって立ち上げられた。GAMでは、これまでにAM技術者の育成などを実施している。
Cetim加入でGAMの活動が加速
GAMに加入しているのは、日本の企業だけではない。2022年6月には、フランスの国立産業技術センター「Cetim」がGAMに加入している。加入目的は、日本市場で積層造形のトレーニングやサービスの展開を行うためである。金属3Dプリントの高い技術力を有するCetimがGAMに加入したことで、GAMの会員である 日本ミシュランタイヤ社とCetim の共同開発プロジェクトが始動することとなった。
2022年11月から、GAMの会員企業が金属3Dプリンターで製造したパーツの性能を検証する共同開発プロジェクトが3件進行している。3件のうちの2件のプロジェクトでは、日本ミシュランタイヤ社が群馬県太田市に開設した「ミシュランAMアトリエ」の金属3Dプリンターを使用している。
残り1件のプロジェクト(自動車部品製造用の金型に金属積層造形の技術を適用するというもの)には、Cetimが参画している。 進行中の3つのプロジェクトは2023年春に完了する予定で、結果も公表する方針とのこと。
GAM内のトレーニングの一部にCetimの教材を使用
GAMでは、3Dプリンターを用いて付加価値の高い製品製造を担える人材を育てるトレーニングプログラムも実施されている。プログラムの一部には、Cetimの教材が用いられている。トレーニングプログラムは、ミシュランタイヤ社の「ミシュランAMアトリエ」でも活用されており、3Dプリントの知識や技術を持たない企業が共同開発プロジェクトに参加するほどになっているという。Cetimの加入によって、GAMの活動がさらに加速することを期待したい。
ミシュランAMアトリエには、ミシュランの合弁会社であるAddUp(アダップ)社製の金属3Dプリンターが2台設置されている。AddUp社製の3Dプリンターには、粉末床溶融結合法/PBF(Powder Bed Fusion方式)が採用されている。AddUp社の3Dプリンターの特徴についてはShareLab NEWSでも過去に取り上げているので参照していただきたい。
粉末床溶融結合法/PBF(Powder Bed Fusion方式) について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧いただければと思う。
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