StratasysとDesktop Metalが合併を発表
Nano Dimensionからの買収交渉も話題になったStratasys(ストラタシス)が、Desktop Metal(デスクトップメタル)と約18億USドル(約2,520億円)相当の全株式取引を行う最終合意を締結したことを発表した。ストラタシス社とデスクトップメタル社の収益目標は、2025 年には約11億USドル(約1,580億円)を見込んでおり、株式公開しているAM企業としては世界最大級の売上規模となる。
ストラタシス社とデスクトップメタル社の合併概要
ストラタシス社とデスクトップメタル社の合併は株式交換で行われる。ストラタシス社の既存株主は合併後の会社の約59%を所有し、従来の デスクトップメタル社の株主は完全希薄化ベースで合併後の会社の約41%を所有することに。ストラタシスがデスクトップメタルを吸収したと言えるだろう。合併は2023年度に完了する見込みだ。
合併後の企業規模
ストラタシスとデスクトップメタルの発表によると、2023年の見込みでは、ストラタシスの売上高は約6億6,500万USドル(約910億円)、デスクトップメタルの売上が約2億3,500万USドル(約329億円)で、合併により売上が1,000億円を超える世界最大級の3Dプリンター企業となる。またそのうち51%は最終部品製造に関連する売上の見込みだ。
樹脂3Dプリンターに強みを持つストラタシス社と金属3Dプリンターに強みを持つデスクトップメタル社は得意とする技術分野が異なり、競合する分野が少なく、合併によるシナジーが見込める。
航空宇宙や自動車、医療、一般製品、重工業などの分野で顧客を幅広く持つため、提案の幅が人がることでさらなる成長が見込めるかもしれない。
さらに拡大するAM市場
ストラタシス社とデスクトップメタル社によれば、2032年にはAM市場が約1,000億USドル(約14兆円)以上になる見込みだ。最終部品製造の増加が市場拡大の大きな要因となる。すでに売上見込みの半分程度が最終部品製造に対応している両社にとって成長余地は大きいことをアピールしている。
両企業トップからのコメント
ストラタシス社のCEOを務めるYoav Zeif氏は「Desktop Metalとの提携により、2人のリーダーが統合して産業用積層造形ソリューションの主要な世界的プロバイダーを創設することで、当社の成長軌道が加速します。航空宇宙、自動車、消費者製品、ヘルスケア、歯科を含む補完的な製品群にわたる魅力的な地位に加え、最大かつ最も経験豊富な研究開発チームの1つ、業界をリードする市場投入インフラストラクチャ、堅牢なバランスシートを併せ持つ、当社は、顧客に優れたサービスを提供しながら、継続的なイノベーションを実現することに尽力していきます。」と発表した。
デスクトップメタル社の共同創設者兼会長兼CEOであるリック・フロップ氏は「これら2つの偉大な企業の合併は、大量生産に向けた積層造形の次の段階を推進する上での転換点となります。当社は、ストラタシスのポリマー製品で金属、砂、セラミック、歯科用3Dプリンティング ソリューションの製品ポートフォリオを補完できることに興奮しています。私たちは協力して、長期的な持続可能な成長を推進するために、業界やアプリケーション全体にわたる多様な顧客ベースを備えた、さらに回復力のある製品の構築に努めていきます。私たちはストラタシスと提携して収益性を実現しながら、より大きな顧客ベースにさらなるイノベーションを推進し、従業員に拡大した機会を提供できることを楽しみにしています。」と述べている。
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