AlSi10Mg材料のCO₂削減とVIRTUCYCLEプログラムで持続可能な3Dプリントを推進 ― EOS社
EOS社は、AlSi10Mgアルミニウム合金を利用し、CO₂排出量を25%削減した新しいリサイクル材料を発表した。また、Agiplast社と協力して、使用済みポリマー材料を再生するVIRTUCYCLEプログラムを開始し、持続可能なアディティブマニュファクチャリング(以下、AM)の実現を目指す。リサイクル材料の使用や製造工程全体でのCO₂排出削減はサステナブルな製造に取り組む製造業各社にとっては重大な関心事となっており、環境に配慮した製造プロセスの実現はAM関連各社にとっても重要なトピックだ。(上部画像はEOS社のウェブサイト。出典:EOS社)
EOSの持続可能な取り組み
EOS社は持続可能な製造プロセスの実現に向けた多岐にわたる取り組みを行っている。特に、同社の「Responsible Products」ポートフォリオには、環境への影響を最小限に抑えた製品が含まれている。例えば、AlSi10Mg材料の改良により、従来のバージョンと比べて25%のCO₂削減が実現されている。また、EOS社はカーボン・カルキュレーターを導入し、顧客が自身のAMプロジェクトにおける炭素排出量とコストを把握できるよう支援している。
AlSi10Mg材料の特徴と改良点
AlSi10Mg材料はEOS社の主力製品の一つであり、3Dプリントにおける高性能なアルミニウム合金として広く利用されている。この材料は、引張強度460MPa、降伏強度245MPa、破断伸び5%を誇り、優れた熱および電気伝導性を持つ。また、改良により、この材料には最低30%のリサイクルフィードストックが含まれ、従来のバージョンと比べて25%のCO₂削減が達成されている。この改良は、材料の特性や性能に影響を与えることなく、環境負荷を大幅に軽減することを可能にしている。
VIRTUCYCLEプログラム
VIRTUCYCLEプログラムは、使用済みポリマー材料を回収し、再生利用することを目的とした取り組みである。EOS社はこのプログラムを通じて、持続可能なエネルギーを使用し、廃棄されるAM粉末を高性能な射出成形用の再生グラニュールに変換している。Agiplast社との協力により実現したこのプログラムは、1kgのポリマー材料を0.945kgのグラニュールに再生することができ、その過程で約7kgのCO₂削減が達成されることが確認されている。これは、従来の原材料を使用する場合と比較して、循環型経済への貢献を示すものである。
EOS社のその他の持続可能な製品とツール
EOS社は、「PA 1101 ClimateNeutral」や「PA 2200 CarbonReduced」などの持続可能な材料を多数提供している。「PA 1101 ClimateNeutral」は、100%のバイオベース製品であり、全ての残留温室効果ガス排出量はゴールドスタンダードのカーボンクレジットで相殺される。一方、「PA 2200 CarbonReduced」は、製造プロセスにおいて再生可能エネルギーを使用することで、GHG排出量を大幅に削減している。また、カーボン・カルキュレーターを利用することで、顧客は自社のAMプロジェクトにおける炭素排出量とコストを詳細に把握し、持続可能な製造プロセスの実現に寄与できる。
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