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やはり現場は強い。バイク・自動車試作で鍛えたノウハウが光る―栄光デザイン&クリエーション株式会社

栄光デザイン&クリエーション株式会社(以下、栄光デザイン&クリエーション)は、自動車やバイクメーカーから試作開発を請け負う試作企業だ。 TCT Japan 2020に出展していた同社だが、日々、要求水準の高い試作を支援する中で鍛えられた試作開発能力が感じ取れる展示構成であり、思わず取材を申し込んだ。ご対応頂いたのは、栄光デザイン&クリエーションの竹森康征氏だ。

***

―お仕事の内容はどんなことをされてるんですか?

「弊社は2輪・4輪の試作、それから量産までを一貫して行っています」

―この「くまモン」について、説明して頂いてもよろしいでしょうか?

「このくまモンはですね、ケミカルウッドという合成樹脂の素材で型を作って、バキュームで裏から吸い取り真空成型しています」

―真空成型なんですね。ちょっと触ってみてもいいですか?あ~、弾力があるといいますか、柔軟ですね。

「塗装ではなく、白や赤の別の素材で成形し、目の周りや口の周りをトリミングして切り取った後に、別成形したものを接着しています」

―だから立体的なんですね。このバイクについても説明をして頂いていいですか?

「こちらは、弊社の諸々の技術を結集したものです。まずはフロントフェンダー。光造形という工法で光硬化樹脂をレーザー照射して硬化させたものをベースにしてあります。素材感が分かるように、半分は素材のまま、半分は研磨して塗装、そんな仕上げになってます」
「次にフロントのスクリーンですが、これは弊社のホットプレスという工法で作りました。 凸と凹の型を作り、そこに熱したアクリルの板材を上下の型に挟み、プレス成型したものです。透過性が高く、歪みが少ないのが特徴です」

―すごくクリアで透過性が高いですね。

「ありがとうございます。次はナックルガードという部分です。これは左右で仕上げを変えています。光造形品をマスターとして、真空注型で製造しており、塗装も施してあります」

―なるほど。いったん造形したものを注型で作っているんですね。

「サンプルとなる製品のものはもう少し小さかったのですが、スキャニング後、弊社の方でモデリングを用いて少し幅を伸ばしたり、スケーリングで特定の方向だけ幅を変化させたりとか、このオートバイに対応出来るようにしています」

―そういう意味ではプロダクトデザインもやって下さった、ということですね。この光るLEDもカッコいいですね。

「こちらは部品が先にあったので寸法測定してから、きちんと収まるように製品形状に盛り込んでデータにしています そのデータを基に、製品に入るように溝を作成しました。この部品は、粉末(パウダー)造形で製作しました。 光造形と同じように、中心から仕上げる前、仕上げた後で変化が分かるような作りとなっております」

「形状にも依るのですが、この場合150mmくらいでしょうか。分割した方が形状再現が良い場合が多いので、パズルカットというカタチで接合がしやすい形状にしてから造形後に接合しております」

―大きいものでも、工夫して最適な形状を作っているんですね。こちらにはレコードのようなものがありますね。

「こちらは、先ほどのナックルガードであった真空注型の技術で作ったものです。マスターは、本物のレコードです。 真空注型は、マスターを囲った型枠に液状のシリコンを流し、固めたものを型として成形します。再現性は非常に高く、この複製したレコードは実際に音を再現することができます」

―レコードの溝は浅く繊細で沢山ありますが、再現出来るんですね。シリコンの型はやわらかいですね。この型で大体何回くらい作れるんですか?

「形状によりますが、概ね20~30回くらいは作れます」

***

今回、目を引いたバイクは展示用の造形だったが、おおよその意向を伝えると設計者が微調整して、部品としての整合性をとったうえで加工しているなど、芸が細かい。実際にメーカーと日々やり取りする中で培われた経験がものを言っているのだろうな、ということが説明の端々から感じられた。やはり実際のビジネスで技術を売っている企業は強い。そんな現場の力を感じることが出来たインタビューであった。

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