ニコン、AP&CおよびWaterloo大学と共同研究!航空宇宙部品向け金属アディティブ補修技術の開発へ

株式会社ニコン(東京都品川区、以下、ニコン)は、カナダのAdvanced Powders & Coatings, Inc.(以下、AP&C)およびWaterloo大学と、金属アディティブマニュファクチャリング分野における共同研究協定を締結した。本協定は、航空宇宙産業向けの高付加価値部品に対し、アディティブマニュファクチャリングを活用した先進的な補修技術の開発を目的としている。(上部画像は「Lasermeister LM300A」「Lasermeister SB100」。出典:ニコン)
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ニコンのAM装置と金属粉体、カナダ初導入へ
本共同研究においては、ニコン製の金属アディティブマニュファクチャリング装置「Lasermeister LM300A」(DED:Direct Energy Deposition方式)および3Dスキャナー「Lasermeister SB100」が使用される。また、使用される金属粉体には、AP&Cが提供するTi-AlおよびTi64が採用されている。
今回の取り組みにより、LM300AおよびSB100のシステム一式がWaterloo大学のMulti-Scale Additive Manufacturing Lab(MSAM)に導入される。これは、カナダ国内において初の導入例となる。
高性能チタン粉体とDED技術で実現する高効率補修
AP&Cが製造するチタン系粉体は、軽量性と高い耐久性を兼ね備えており、航空宇宙部品の寿命延長や運用コストの低減が期待されている。さらに、ニコンの自動スキャン技術とDED方式による高精度な付加加工技術を組み合わせることで、航空宇宙部品の補修における品質と効率の向上が実現される。これにより、製造コストの削減や産業廃棄物の抑制にも貢献する。
本共同研究を通じて、アディティブマニュファクチャリング技術の進化を促進し、製造現場が直面する実務的課題に対する新たな解決策を提示していく。補修性能や品質、安全性において優れたソリューションの確立を目指して取り組みを進める。
Advanced Powders & Coatings Inc.について
AP&Cは、GE Aerospace傘下にあるColibrium Additiveグループに属し、2006年より高品質な金属粉体の製造を行っている。安定かつ強固な供給体制を提供することに加え、顧客との協業を通じて競争力ある革新的な部品の製造を支援し、アディティブマニュファクチャリング技術の進化に貢献することを使命としている。
Waterloo大学について
Waterloo大学は1957年に設立され、在籍学生数は4万2千人を超える、カナダ有数の名門大学である。同大学は、科学・工学、数学・コンピュータサイエンス、健康学、環境学、芸術、社会科学など、幅広い分野において先進的な研究と教育を展開しており、カナダで最も革新的な大学と評価されている。
中でもMSAM(Multi-Scale Additive Manufacturing)ラボは、カナダ国内におけるアディティブマニュファクチャリングの学術的中心地の一つである。最先端の研究活動と産業界との密接な連携により、MSAMは高性能材料や製品の開発、品質保証のプラットフォーム構築などに注力している。こうした取り組みにより、既存技術の制約を克服し、さまざまな分野における技術革新をけん引している。
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