GSアライアンス社、植物由来の生分解性樹脂で3Dプリント家具を製作
GSアライアンス株式会社（兵庫県川西市、以下、GSアライアンス社）は、脱炭素およびカーボンニュートラル社会の実現に向け、植物やバイオマス由来の生分解性樹脂を用いた3Dプリンター製家具の製作を行った。同社は、これまで環境やエネルギー分野の先端技術開発に取り組んでおり、今回の試みもその一環である。（上部画像は3Dプリンターを用いて、植物、バイオマス由来の生分解性樹脂材料で作った家具を展示するスペース。出典：GSアライアンス社）
深刻化するプラスチック汚染
地球温暖化や環境汚染、森林破壊などの問題は深刻化しており、特にプラスチック汚染は生態系に壊滅的な影響を与えている。近年では、大気中のナノプラスチックが人体に取り込まれ、健康への影響が懸念されている。ナノプラスチックとは、環境中に放置されたプラスチックが自然分解・変性を経て微細な粒子となったものであり、呼吸や摂取を通じて人体に入り込むとされている。最近の研究では、ナノプラスチックが心臓発作や脳卒中のリスクを高め、消化器系の炎症や免疫機能への悪影響を引き起こす可能性が示唆されている。
生分解性樹脂の可能性
こうした背景のもと、生分解性樹脂の活用が注目されている。生分解性プラスチックは、使用後に自然環境で分解されるため、プラスチック汚染問題の解決策となる可能性がある。ただし、コンポスト環境や土壌、淡水、海水、さらには人体内での分解特性については、より詳細な検証が求められる。既に医療分野では、乳酸系やラクトン系の生分解性プラスチックが使用されており、安全性が確認されている。
3Dプリンターで家具製作
今回、GSアライアンス社は同社開発のポリ乳酸（PLA：Poly Lactic Acid）系の生分解性樹脂を使用し、3Dプリンターによるテーブルやカウンター机などの大型家具を製作した。さらに、ベンチ、フローリング、壁付けのシェルフ、間接照明、プランター、ランプカバーなど、幅広い家具製作にも取り組んでいる。理論的には、あらゆる種類の家具が3Dプリンターで製作可能である。
環境配慮型ものづくりの発信拠点
また、石油や化石燃料を原料としないものづくりの重要性を広く認識してもらうため、同社は東京都世田谷区に展示スペースを設置した。このスペースでは、植物や天然バイオマス、木材といった有機資源を活用した環境配慮型の材料や製品が展示されている。
今後、GSアライアンス社は植物やバイオマス由来の塗料を用いた家具の装飾や、セルロース系の生分解性樹脂、木材、植物、海藻残渣などを複合材料として活用した新たな家具製作を進める方針である。
GSアライアンス社とは
GSアライアンス社は、環境・エネルギー分野の最先端技術を研究開発する企業であり、脱炭素・カーボンニュートラル社会の実現を目指している。特に、植物やバイオマス由来の生分解性樹脂の開発に注力し、3Dプリンターを活用した持続可能な製品製造を推進。環境負荷の低減に貢献する新素材の研究を進めるとともに、環境配慮型の製品や技術の普及啓発にも取り組んでいる。
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