ランボルギーニと3DプリンティングサービスのCarbonがパートナーシップを拡大
概要
当サイトでも度々取り上げる3Dプリンティングサービスにおいて、米国で注目のユニコーン企業であるCarbon(カーボン)は、米国時間12月16日、Lamborghini(ランボルギーニ)社とのパートナーシップを拡大するという発表を行った。
パートナーシップの経緯と今後について
3Dプリンターで作ることになったのは、 Lamborghini 初のハイブリッド生産車であるSian FKP 37の中央の通気孔パーツとダッシュボードの空気孔だ。
今年の2月にこの両社のパートナーシップで作られたのは、 Lamborghini 社が2018年にリリースしたSUVのUrusモデルシリーズ用燃料キャップとエアダクトの留具だった。
Lamborghini 社は、その結果をもってCarbonの持つ技術の品質と効率を体験した後、多くの部品の設計、製造の方法を変えることができることを認識したという。
Lamborghini 社の最高調達責任者のステファン・グラムゼ氏は語る。
「私たちは、 Lamborghini 社の部品の製造に3Dプリンティングの技術を使用することに、より多くの労力とリソースを費やしており、限界を押し上げるクラス最高の製品を作成するというビジョンを共有するパートナーを見つけました。彼らと協力して今後も何ができるのか楽しみです」
CarbonはAdidas(アディダス)などとの過去のパートナーシップの実績でもその成果は話題だが、今回も特にSianFKP 37の通気孔パーツ については従来的な製造方法に比べ、カーボンプラットフォーム上で直接設計から生産に迅速に移行することで、部品のリードタイムを12週間短縮することを可能にしたという。
ダッシュボードの空気孔で使われたEPX 82もインテリアの燃焼性、揮発性有機化合物、熱サイクル、熱老化に関するテストに合格している。
「Carbon Digital Manufacturing Platformを使用することで、最初のコンセプトからショーカーまで最終部品をわずか3週間で見せることができ、さまざまな設計の反復を経て最高の結果を得ることができた」と Lamborghini 社の最高技術責任者のマウリツィオ・レジャーニ氏は語る。
今後も、Carbon社から目が離せない。
Carbon社 とは
6年目を迎えた米国3Dプリンターメーカー「Carbon」は、6.8億ドルを超える資金を集めたユニコーンベンチャー。日本でもリリースされたAdidas社のスニーカー(「ALPHAEDGE 4D」)、今年のSuper Bowl(プロアメリカンフットボールリーグ決勝戦)でデビューを飾ったRiddell社のカスタムヘルメット、金型レスに踏み切ったFord社のサービスパーツなど、3Dプリンターの最終製品への適用は、デザインのみならずモノづくりそのものにも変革をもたらしている。
光と熱のハイブリッドを駆使した独自技術により、従来の3Dプリンターとは異なり、試作工程の短縮、金型コストの削減から、オンデマンド、カスタマイズ、少量多品種対応、デザインの最適化(金型では実現不可能な形状実現を含む)に至るまで、サブスクリプション(「定額制」)を通じて、ものづくりの広範なシーンでお客様の価値向上に貢献するソリューションを提案する。このソリューションを彼らは Carbon Digital Manufacturing Platformと呼んでいる。素材はウレタンをベースに、エポキシ系やシリコン系など広範囲なラインナップを取り揃えている。
自動車業界での事例ではランボルギーニの他、フォード、BMW(動画で稼働中の姿も見ることができる)でも採用されており、注目度の高さがうかがわれる。
日本での事例としては眼鏡のJINSがM2プリンターを導入しサングラスの最終部品に採用しているほか、バレーボールの鍋谷選手のアイガードも試作から最終部品製造までCarbonのM2プリンターを使って製造されている。
関連情報
>> 最終品の製造を実現!CEATECでみたCarbon社の国内本格始動の予感
>> ランボルギーニ公式サイト
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