キャデラックのEV車「CELESTIQ」、鋳造部品に砂型3Dプリンターを活用
GM社の高級車ブランドCadillac(キャデラック)のうち、EV車である「CELESTIQ(セレスティック)」の部品製造に、砂型3Dプリンターが使われていることがわかった。使用されているのは、 ドイツのvoxeljet社製の砂型3Dプリンター「VX4000」である。部品の製造は、 GM社のサプライヤーであるTooling & Equipment International(以下、TEI社)が行う(画像はキャデラック「CELESTIQ」/出典:GM社)。
3台目の砂型3Dプリンター導入
TEI社が砂型3Dプリンター「VX4000」を導入するのはこれで3台目。voxeljetの「VX4000」は最大造形サイズが4m×2m×1mと超大型造形が可能。 同社は砂型3Dプリンターを用いて大型コンポーネントの連続生産用の中子を製造している。中子とは、空洞がある鋳物を製造する際に、空洞にはめ込むための型で、「コア」や「核」とも呼ばれる。砂型3Dプリンターを導入することで、複雑な部品を低コストかつ軽量に製造することができる。
TEI社は、2018年からvoxeljet社の3Dプリンターを活用し、500,000 リットル以上の3Dプリント用の砂を 3 年間ボリューム契約した。今回の3台目の砂型3Dプリンターの導入によって、TEI社は年間最大250万リットルまで製造能力を拡大している。
CadillacのEV車「CELESTIQ」のアンダーボディ製造にAM活用
「CELESTIQ」のアンダーボディは砂鋳造の大型アルミニウム6部品で構成されている。その6部品の鋳造に用いる、51個のすべての中子を砂型3Dプリンターで製造。1台の砂型3Dプリンター「VX4000」で「CELESTIQ」数台分の中子を一晩で印刷でき、重量やデザインに最適化した部品の短納期化を実現している。造形した中子は表面処理・耐火コーディングを施して鋳造に用いられる。3Dプリンターを活用することで、30~40個のプレス部品からなるパーツを、6個の大型砂型鋳造アルミ部品に置き換えている。
砂型3Dプリンターでは、試作品や最終製品を直接造形する金属積層3Dプリンターと異なり、砂型製造以降のプロセスは従来型の鋳造法が用いられる。今回の例でいえば、3Dプリントされた中子を既存の生産ラインに迅速かつ柔軟に組み込むことができるというメリットが得られる。
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