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ミシガン州初の3Dプリント住宅を建設 ― Citizen Robotics

Citizen Roboticsの建設したデトロイトの3Dプリント住宅

米国ミシガン州デトロイトのアイランドビュー地区に、州初となる3Dプリント住宅が建設されている。Citizen Roboticsが進めるこのプロジェクトは、地場産業である自動車産業の空洞化によって都市の荒廃が続くデトロイトで若者世代でも手が届く住宅の提供を目指すものだ。建設用3Dプリンターを活用し、都市部での住宅供給を革新する可能性を示す実例でもある。(画像は.citizenroboticsの建設したデトロイトの3Dプリント住宅)

地に足の着いた普通の住宅を建設用3Dプリンターを活用して製造

建設用3Dプリンターの採用による住宅コストの削減を目指す非営利団体Citizen Roboticsが、自動車製造に使用されていた産業設備をアップサイクルし、新たな住宅建設用の3Dプリンターを開発した。このプロジェクトは、デトロイトの豊かな自動車産業の遺産を生かし、住宅格差と不安定さを解消する手段として提案されたものだ。リゾート地の別荘やハイテク好きのための新規性の高いデザイン住宅ではなく、デトロイトでの地に足の着いた住宅実需を満たすための一般住宅を建築するための取り組みだ。

3Dプリント住宅は工場内で製造し現地で組み立てるプレキャスト方式で

デトロイトに建てられた第一号目の住宅は、一階建てで約79平方メートル、二室一浴室の間取りが特徴で、高齢者向けに設計されている。内装はユニバーサルデザインを採用し、エネルギー効率の高い気密構造を実現している。建設には、非独占的なモルタル混合物と標準部品を使用し、市場で容易に再現可能な工程が選ばれた。現地で建設用3Dプリンターが造形するのではなく、工場内で部材を製造し、現地で組み立てるプレキャスト方式で建設が進んだ。

ローコスト・短納期。シニアや若年層でも手が届く3Dプリント住宅を目指す

この方式での現在の建設コストは、1平方メートルあたり約24,700円(230ドル)とされ、このプロジェクトの総コストは約2,470万円(230,000ドル)である。ミシガン州住宅開発局が約1,610万円(150,000ドル)を資金提供し、今後のコスト効率とエネルギー効率の実証試験が期待されている。この住宅は、他の新築住宅と比較しても手頃な価格で提供されており、2023年春には全ての工程が完了する見込みだ。

ほかの多くの3Dプリント建築と大きく異なるのが、外観や機能が一般住宅を強く意識している点だ。老朽化した住宅からの住み替えや、これから新規に住宅を取得したい若年層が住んでも抵抗感がないように突飛なデザインではなく、見た目も普通の住宅に見えるようにデザインされている。一般の住宅ニーズに注目した本取り組みは、日本でも参考にできる点が多いことだろう。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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