建設用3Dプリンターによる建築サービス「DDD.homes」が開始、第一弾は国産3Dプリンター製サウナ
神奈川県横浜市に本社を置くデザイン会社の有限会社光巨プロジェクト(以下、光巨プロジェクト社)は、東京都港区に本社を置く、日本初の3Dプリンターメーカーである株式会社Polyuse(以下、Polyuse社)と協業し、建設用3Dプリンターによる建築サービス「DDD.homes」を開始した。(写真は光巨プロジェクトプレスリリースより)
プロジェクト第一弾として、横浜市で行われたウェルビーイングを体感するイベント「ハマウェル」にて、世界初となる国産3Dプリンター製のサウナを発表した。
ウェルビーイングは、心や体、そして社会的にも健康的でいられることを表す言葉。
(画像は3Dプリントサウナの造形のようす 出典:光巨プロジェクト社)
「DDD.homes」発足のきっかけはコロナ禍と自然災害
コロナ禍では、サテライトオフィスや狭小住宅といった自宅でも会社でもない、第三の拠点に注目が集まった。また、近年は震災や豪雨が頻発し、自然災害への不安が高まっている。「DDD.homes」発足のきっかけは、これら2つの課題に、建設用の3Dプリンターを用いることでいち早く対応できるのではないかという思いからだという。
デザイン会社として新しいモノ・コトを生み出す光巨プロジェクト社と、日本製の3DプリンターメーカーのPolyuse社が協力することで、まだ世の中にはない新しい価値の創造を目指す。
日本の一般ユーザーが3Dプリント建築に触れる珍しい機会に
海外では3Dプリンターを用いた建設事例は数多くあるが、日本においては3Dプリンター製の一般用住宅は登場していない。その背景には、日本が地震大国であるがゆえの厳しい耐震基準がある。1981年に施工され、現在でも続く新耐震基準では「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れること」が義務づけられている。
DDD.homesが、横浜市が開催したウェルビーイングを体感する都市型イベント「ハマウェル」へ出展したのは、一般ユーザーに対して、まだ日本では目にすることの少ない3Dプリンター建築に触れてもらう意図があったようだ。
DDD.homesは、イベントへの参加が正式に決まってから、プロジェクトチームを発足、デザイン、設計、3Dプリント、設置までをわずか29日間で実施した。日本製プリンターのコストメリットを生かしつつ、日本独特な風土や建設現場のサイズに適応している光巨プロジェクト社とPolyuse社の共同プロジェクトならではの成果だといえる。
DDD.homesは、建築物に限らず、付加価値をつけたリゾート開発、ワーケーション施設の新設など、まちづくり、働き方、暮らしのイノベーションを目指すパートナーを募集している。コロナ禍でリモートワークに多くのビジネスマンが触れたことで、潜在的なニーズが顕在化を始めている。その需要のうねりが消える前に、具体的なサービスをどこまで具現化できるのか。DDD.homesのような新たな試みが日本のワークスタイルやライフスタイルをどこまで変えていけるか、引き続き注目していきたい。
ShareLabNEWSでは、日本や世界の建築現場で3Dプリンターが用いられた事例を数多く紹介してきた。あわせてご覧いただきたい。
建築・建設用3Dプリンターの関連記事
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。