シンガポール初の3Dプリントコンクリート橋、2028年開通へ!インフラ分野での実用性を検証

2026年4月27日
3Dコンクリートプリントによる歩行者橋の完成予想図。(出典:Land Transport Authority)
3Dコンクリートプリントによる歩行者橋の完成予想図。(出典:Land Transport Authority)

シンガポールで、3Dプリントコンクリート技術を用いた歩行者橋の建設計画が進んでいる。2028年の開通を目指す本プロジェクトは、インフラ分野における積層造形の実用性を検証する試験的取り組みだ。同国のLand Transport Authority(LTA)は、ジュロン・ウェストと新興住宅地テンガを結ぶ橋の計画を発表した。完成すれば、両地区間の移動時間短縮が期待される。

全長10m・幅5m、歩行者と自転車に対応

計画されている橋は、全長10メートル、幅5メートル。歩行者と自転車の双方が利用可能な設計となっている。今回のプロジェクトは、シンガポール特有の労働力不足を背景に、建設の省人化・効率化を目的として進められ、開発には、南洋理工大学のSingapore Centre for 3D Printing、オランダのエンジニアリング企業Witteveen+Bos、建設会社CES_Innovfabが参画している。

型枠不要、自由形状を実現する3Dコンクリートプリント

3Dコンクリートプリントは、ノズルから押し出したコンクリート材料を層状に積み上げることで構造物を形成する工法である。従来のような型枠が不要であり、施工工程の簡略化が可能となる。LTAによれば、この技術により仮設構造の削減や手作業の低減が見込まれ、人手不足の環境下でも施工効率の向上が期待でき、また、従来工法では難しい複雑形状やデザイン性の高い構造物の実現にも寄与するという。一方で、インフラ用途としてはまだ検証段階にあり、本プロジェクトはその適用可能性を見極めるためのパイロットケースと位置づけられている。

将来建設される橋は、複数の3Dプリントされたブロックで構成される(出典:Kok Hun Goh)
将来建設される橋は、複数の3Dプリントされたブロックで構成される(出典:Kok Hun Goh)

セグメント構造+ポストテンションで橋を形成

橋は10個のコンクリートセグメントで構成される設計で、それぞれを組み立てた後、内部に通した鋼製ケーブルを緊張させる「ポストテンション」工法により一体化する。セグメント同士を圧縮して強度を確保し、橋床版として機能させる構造だ。

異なるブロックは、鋼製ケーブルを用いて組み立てられる(出典:Kok Hun Goh)
異なるブロックは、鋼製ケーブルを用いて組み立てられる(出典:Kok Hun Goh)

水タンク18基で強度試験を実施

実証では、実橋の半分の幅(10m×2.5m)のスケールモデルを製作し、水を充填したタンクを用いて荷重試験を実施。試験には約1トンの水を入れたタンク18基が使用され、一般的な歩行者橋と同等の耐荷性能を確認する評価が行われた。現在はセンサーから取得したデータを解析し、設計値との整合性や構造安全性の検証が進められている。結果が良好であれば、実物大の橋の建設に移行する予定である。

編集部コメント

建設分野における3Dプリントは、住宅や小規模構造物では実用化が進みつつある一方で、公共インフラへの適用はまだ初期段階である。本件のように「セグメント分割+ポストテンション」という従来技術と組み合わせたアプローチは、現実的な導入ステップとして注目に値する。特に日本でも人手不足は深刻化しており、橋梁や土木分野での省人化技術は今後の重要テーマとなる。今回の検証結果は、国内での応用可能性を考える上でも参考となる事例である。

用語解説

■ 3Dコンクリートプリント
コンクリート材料をノズルから押し出し、層状に積み上げて構造物を形成する建設技術。型枠を使用せずに造形できるため、省人化や施工効率の向上が期待される。
■ ポストテンション
コンクリート構造物に鋼材を通し、後から引張力を与えることで圧縮応力を発生させ、強度や耐久性を高める工法。橋梁や建築分野で広く用いられている。

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