話題性の高いグッズを企画・製造・販売する株式会社キャステム(以下、キャステム)は、北海道の伝統工芸「木彫り熊」をモチーフにした菓子『くまグミ』の販売を開始した。製造は株式会社シーズ、ブランディングは株式会社エムブイピークリエイティブジャパンが担当する。Amazonおよび楽天市場などのオンラインショップで開始された。
目次
木彫り熊の毛並みまで再現したグミ
『くまグミ』は、北海道土産の定番として知られる「鮭をくわえた木彫り熊」をそのままグミとして再現した商品である。最大の特徴は、木彫り彫刻の繊細な毛並みの表現まで再現している点だ。リアルな造形とかわいらしさを両立させたデザインとなっている。味はラムネ味で、爽やかな風味と弾力のある食感が特徴のグミに仕上げられている。

伝統工芸の課題から生まれた企画
商品開発のきっかけは、北海道白老町における木彫り熊の伝統工芸の現状にあった。白老町では木彫り熊を制作する工芸士の高齢化と担い手不足が進んでいる。さらに、白老町の工芸作家である山田祐治氏は、木彫り熊は1日に彫れる量が限られるため大量生産が難しく、サイズも大きく価格も高いため、子どもたちが欲しがっていても手に取りにくいという課題を感じていたという。こうした背景から、「木彫り熊を3Dデータ化して新しい形の商品を作れないか」という発想が生まれた。

3Dスキャンと3Dプリントで原型を制作
実際の木彫り熊を3Dスキャンして立体データ化し、そのデータをもとに高精度3Dプリンターで造形した原型を制作した。完成した造形物を見た関係者から「グミのようだ」という声が上がり、菓子としての商品化が決まったという。開発では、熊の毛並みの細かな表現をどのように再現するか、また鮭の部分がちぎれないようにする型設計など、多くの試作を重ねながら細部まで調整が行われた。こうして、木彫り熊の造形を忠実に再現したグミが完成した。

工芸を「味わう」新しい体験
木彫り熊は本来、目で楽しむ工芸品である。『くまグミ』はその造形を菓子として再現することで、見るだけでなく味わう体験として伝統工芸を楽しめる商品となっている。開発チームは、目と舌の両方で木彫り熊の魅力を体験してほしいとしている。

商品概要
商品名:くまグミ(ラムネ味)
内容量:50g
販売価格:648円(税込)
生産国:日本(北海道)
製造者:株式会社シーズ
ブランディング:株式会社エムブイピークリエイティブジャパン
編集部コメント
3Dスキャンと3Dプリントを活用し、伝統工芸の形状をデジタルデータとして活用する事例は近年増えている。今回の「くまグミ」は、その技術を食品分野に応用したユニークな取り組みである。
木彫り熊は北海道の代表的な土産品として知られるが、職人の高齢化や担い手不足が課題となっている。こうした状況の中で、3Dデータ化によって造形を別の形で展開する試みは、文化や工芸を広く伝える方法の一つになり得る。
3Dプリント技術は工業用途だけでなく、文化やデザインの分野でも新たな表現を生み出している。今回のように、伝統工芸を「食べる体験」として再構成する事例は、デジタル技術と地域文化の新しい接点として興味深い取り組みである。
用語解説
| ■ 3Dスキャン 実物の形状をレーザーやカメラなどで計測し、立体データとして取得する技術。取得したデータは3Dプリント、設計、文化財アーカイブ、リバースエンジニアリングなど幅広い分野で活用される。 |
| ■ 3Dプリンター デジタルの3Dデータをもとに材料を積層して立体物を作る装置。樹脂や金属などさまざまな材料に対応し、試作、製造、医療、建築、文化財保存など幅広い用途で利用されている。 |
| ■ 木彫り熊 北海道を代表する伝統工芸品。鮭をくわえた熊の彫刻が特徴で、主に木材を手作業で彫刻して制作される。近年は職人の高齢化や担い手不足が課題となっている。 |
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