小児用人工心臓のライブ3Dプリンティング、大阪・関西万博ルーマニアパビリオンにて初公開 ― Formlabs

2025年7月15日
Formlabsのプレスリリースより。

2025年6月21日から30日にかけて、大阪・関西万博ルーマニアパビリオンにて、MAVIS Artificial Heartが特別ラボを開設し、小児用人工心臓のライブ3Dプリンティングを一般公開した。本取り組みは、東大阪市の株式会社エムトピアと、米国の3Dプリンティング企業Formlabsの全面的な支援により実現されたものである。イベント期間中、Formlabsの最新鋭3Dプリンター「Form 4」が使用され、医療現場での実用化が期待される小児用人工心臓の造形プロセスが来場者に披露された。これは、複雑な形状と高精度が求められる医療機器の製造において、3Dプリンティング技術が果たす可能性を体現した画期的な実演であった。(上部画像はFormlabsのプレスリリースより。出典:Formlabs)

医療と製造の融合が生んだ先端事例

小児用人工心臓は、先天的に重度の心疾患を抱える子どもたちの命を支える重要な医療機器である。しかし、小型化や患者個別対応の難しさゆえに、従来の開発・製造には極めて高度な技術が求められてきた。MAVIS Artificial Heartは、ルーマニアのグリゴレ・T・ポパ医科大学にて推進されるプロジェクトであり、革新的な小型人工心臓の実用化を目指している。今回のライブプリンティングは、その研究成果の一端を世界に向けて公開する貴重な機会となった。

技術支援の中核を担ったエムトピアとFormlabs

本プロジェクトを技術面で支えたのは、大阪府東大阪市に本社を置く株式会社エムトピアである。同社は「なにわの試作屋」として50年以上の歴史を持ち、家電や自動車、医療機器分野において、試作から小ロット量産までを一貫して手掛けてきた。特に、3Dプリンティングや精密切削加工、注型といった多様な製造技術を強みとしており、複雑な形状を持つ製品を短納期かつ低コストで提供する体制を整えている。

一方、Formlabsは2011年にMITの大学院生によって創業された3Dプリンティング企業であり、光造形(SLA)方式のベンチトップ型3Dプリンターにおいて世界をリードしている。近年では、選択的レーザー焼結(SLS)方式にも展開を広げており、特に医療・歯科・製品開発分野における豊富な導入実績を持つ。

同社の提供する高品質な3Dプリンターと材料は、手術用器具や患者ごとの解剖学的モデルの作製に活用されており、今回のような精密医療機器の造形にも十分に対応可能である。

今後への展望

今回のライブプリンティングは既に終了したが、この取り組みが示したのは、3Dプリンティング技術が持つ医療分野における可能性である。とりわけ、患者ごとにカスタマイズされた精密な医療機器の製造という点において、デジタルマニュファクチャリングは今後ますます重要性を増すだろう。

また、本プロジェクトは、地域の中小企業が世界最先端の技術と連携し、社会課題の解決に貢献できる好例としても評価されるべきである。東大阪発の技術が、世界の子どもたちの命を支える未来の医療を支えることになるかもしれない。

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