3Dプリンターで断脚手術をしたペットたちに新たな義足を ― 東洋装具医療器具製作所
ペットフードや動物医療の発展と進化で、ペットの長寿化が進んでいる。その一方でペットの代表格である犬に、事故の治療や悪性腫瘍の手術のため、断脚手術を余儀なくされる場合がある。そこで現在注目されているのが、3Dプリンターを使ったペット用義足の開発だ。「ペット用義足先進国」とされている米国では、すでに肩関節から脚を失ったペットのための義足を3Dプリンターで作っているメーカーがあったりもするが、海外から輸入しても、対応が遅れる場合があるうえに、値段も高額だ。壊れた時の修理も対応してもらえないケースもある。だからこそ国内で作る必要があるという。(上部画像は東洋装具医療器具製作所のウェブサイト。出典:東洋装具医療器具製作所)
3Dプリンターを活用してペット用義足を製作
東洋装具医療器具製作所は、2007年に日本初となる動物用義肢製作所として設立されて以来、医師と連携しながら、犬や猫に限らず、脚の欠損、脱臼、腰のヘルニアなどで歩くことが困難になった動物たちのためにコルセットや義足をオーダーメイドで届けてきた。年間3,000件近い依頼を受けるなか、肩からの断脚手術を行ったペット向けの義足として、3Dプリンターで製作するオーダーメイド義足の開発をすすめている。
四足歩行の犬は、4本の脚にかかる体重の負担は均一ではなく、前脚に7割、後ろ脚に3割の力がかかっているとされる。脚を1本切断すると、まともに使うことができなくなり、筋肉が弱り、肩にも影響がでて力を入れることが難しくなる。それを防ぐために、開発された3Dプリント義足は胴体部分をコルセットのように覆い、胴体に力を分散させるような造りになっている。失った脚に代わる器具は、先端にクッション性のあるものが取り付けられた。
義足のボディー部分を作るための型取りは、患畜が治療を行う動物病院で石膏を流し込んで行われる。それを3Dスキャナーでデータ化し、3Dプリントが行われる。ボディーの部分はポリカーボネートと呼ばれる耐久性の高い素材が用いられ、縦・横どちらに負荷がかかっても、力を分散できるようなデザインに仕上げられている。
ペットの長寿化がすすむなか、高齢ペットのQOLの向上への取り組みは、これまで以上に注目を集める。
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