株式会社Arcana製作所(長野県東御市、以下、Arcana製作所)は、2025年10月7日、フォトグラメトリー技術を活用した全身3Dスキャナー「FacTrans for Fullbody」の新価格プランを発表した。本製品は、スキャン後の3Dモデルに対する修正作業を最小限に抑えられる高精度なデータ生成を特徴としており、従来モデルの価格体系を見直すことで、より多くの企業、教育機関、研究機関、ならびに新規ビジネスの参入者が導入しやすい環境を整えた。エントリーモデルは298万円(税別)から提供され、より高精度なスタンダードモデルは398万円(税別)に設定された。
目次
年間保守サービスを標準付帯
新たな価格プランには、初年度無償の年間保守サービスが付帯する。保守内容は以下のとおりである。
- オンラインによるリモートサポート
- メール・電話での技術サポート
- ソフトウェアのアップデート
- 故障時のセンドバック修理対応
2年目以降は298,000円(税別)/年で継続可能であり、複数年契約による割引も用意されている。これにより、導入後の運用コストを抑えつつ、安定した利用が可能となる。
製品仕様と価格
| モデル | 本体価格(税別) | 主な特長 |
| FacTrans for Fullbody エントリーモデル | 2,980,000円 | 64台のカメラによってスキャンを行う。 高精度なスキャンに不可欠なパターン投影機能を標準で搭載している。 |
| FacTrans for Fullbody スタンダードモデル | 3,980,000円 | 96台のカメラによってスキャンを行う。 高精度なスキャンに不可欠なパターン投影機能を標準で搭載している。 |
※価格にはPCおよび設置・運送費用は含まれていない。
※輸送用の専用梱包はオプションで提供される。
多様な活用シーンと導入メリット
価格改定により、これまで高コストを理由に導入を見送っていた企業や教育機関などでも、容易に3Dスキャナーの導入が可能となった。
主な活用例としては、来場者をスキャンしフルカラー3Dプリンターと連携させてフィギュアを製作するイベント向けサービスが挙げられる。さらに、ペットの3Dスキャンにも対応しており、ペット業界での記念品制作や展示イベントにも適用が見込まれる。
アパレル業界では、バーチャルフィッティング用途としての利用や、研究用途での体型データ収集といった活用も想定される。また、組立・分解が容易な設計により、イベント会場などでの移動設置も容易である。
高精度を支える複数カメラ構成
近年では生成AIの進化により、少数カメラや画像枚数での3D生成技術も発展しているが、人物やペットのように動的な被写体、複雑な衣服の柄や微細な表情の再現には、同時多方向からの撮影が不可欠である。
FacTrans for Fullbodyは複数のカメラで一括撮影する方式を採用しており、これにより修正の手間を抑えた高精度な3Dデータを取得可能である。また、取得データは採寸にも活用可能な精度を有しており、実用性が高い。
クラウド連携サービス「FacTrans.Cloud」
取得した3Dデータは、同社が提供するクラウドサービス「FacTrans.Cloud」を通じて、PCやスマートフォンから容易に閲覧・共有が可能であり、AR表示にも対応している。
本サービスは業務利用のみならず、一般ユーザーが3Dコンテンツを“見る・楽しむ”体験を広げるプラットフォームとして位置付けられている。スキャナーとクラウドを組み合わせることで、より多くのビジネス機会が創出可能となる。
今後の展開
Arcana製作所は、「3Dデータをより身近に」を掲げ、普及モデルの拡販を推進する一方で、映画・ゲーム業界やAIの教師データ生成など、ハイエンドな需要にも対応可能な製品開発を継続していく方針である。
導入先のニーズに応じたカスタマイズも可能であり、今後も技術革新と市場動向に即応した製品・サービスの提供を目指すとしている。
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